架空のゲームレビューがこれほど素晴らしいSFになるとは。
気づけば一気読みしてました。なんじゃこりゃ。文章の運びといい中身といい、語られているゲームに対しての語り手の想いがズンズン伝わってきて、さっきから首が据わりません。リアルにレビューを読んでいるよう。
ゲームも小説も無限なんですね。ゲームを遊ぶ人間たち。ゲームは超楽しい。そこに、一つの、そしていくつもの物語が生まれていく。人間という生き物といろんなゲームとのつながりに映し出される、人間の姿。
それが知ったかぶりされずに、一つのゲームレビューとして構築されているところが、本作の素晴らしい点だと思います(解り辛い文すみません)。好きです。超面白い。今、首落下しました。
レビューの体をしてしていますその実態は未来から(現代の視点からすると少し先の未来である)過去のゲームの話をひたすらするというもの。
特に低評価を食らった(という設定のもの)を次々紹介するのだが
不意に挟まれる雑記で今までのバラバラだった話が繋がっていく。
未来というまだ存在してないそこからレビューサイト主という主人公が生活していく様がかいま見え恐ろしいほどに練度が高いSF小説となっていく。
まったく新しいジャンルであり話の殆どはフィクション。
しかしそこにあるのはリアルではなく圧倒的リアリティ。
ゲームを愛した者が書く究極のフィクションリアリティがココに。
SFは未来を語ることが多いですが、この作品は記録形式で説得性を高めた未来です。
またその予測は、内容に信頼性を与えられる技術的・社会的素養や、鋭く論理的な分析・予測力、親しみやすい表現力に裏打ちされています。
そして予測の内容は、絶望でも退屈でもなく、生きがいのある未来です。現代の我々は、情報技術から人工知能技術への発展などの技術革新を前に、事件・事故や格差・失業、はては人類の衰退・滅亡まで様々な心配を抱いています。しかしこの未来では、発達し続ける高度技術でいろんな騒ぎを引き起こしながらも、その手綱をとって遊び倒し、多分社会もしっかり運営できている。しかもそうしているのは、我々の子孫だけでなく、我々の世代もなんです!
こんな未来をみんなで実現できるよう、あわよくば私も乗っかれるように、ロートルですがまだまだ頑張っていきたいと思いました。
どうにも私の環境から、あるいは「当時」の環境からでは、
これらのゲームの画像が見れないようだ。
それなのにパッケージや広告の表示すらなく文章だけで勝負とは。
加えて私は、そんなレビューのレビューをする羽目になるとは……私は何を言っているんだ?
……という感じで、未来におけるレトロゲーム(しかも低評価)レビューという形式の、
今までありそうでなかったSF小説。
SFを読んだ量を聞かれると苦しいのだが、
少なくとも私は知らないので、初めて見る形式であると言っておく。
時に、現実世界のよく知られた歴史を織り交ぜ、
時に、時代が進んでも変わらないゲーマー達の言動を混ぜ込み、
時に、この未来はありえるかもしれないと思わせる力量は、
現代に生きる私たちをニヤリとさせてくれる。
これまでに描かれた未来は多々あるが、ひょっとしたらこんな未来もあるかもしれない。