これも一つの神作品

『ネット小説でしかできない表現』。このコンセプトをとても分かりやすく、そして情熱的に追及した意欲作だと思います。
中盤のシリアス展開や終盤の怒濤の展開など、個人的にはとても大好きな表現で心動かされました。序盤に抱いた印象とは打って変わって涙腺を直撃し、一つの物語の中でここまで化けるとは予想外でした。

ただやはり他の方の指摘にもあるように、序盤の掛け合いや展開にどうしてもチープさを感じ、そこが評価の伸び悩んでいる原因なのかなと思います。
物語を読み終えた後に思い返すと不必要ではないのですが、ネット特有の表現にこだわるあまり、ネット小説特有の長所である『読みやすさ・分かりやすさ』が削れているように感じました。名作になれるポテンシャルを感じただけに、とても『惜しい』気持ちになりました。

とは言えこういうオンリーワンな作品は、それだけで価値があり一読のオススメができます。
ネット小説でしかできない、ネット小説でやるからこそ意味があるんだ!といった熱いものを感じました。
読んだ人に何か考えさせるものを与えられる、良い作品だったとは思います。記録よりも記憶に残る作品でした。

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