「神様」と「アバター」。
「信仰」と「動画配信」。
「神社」と「サーバー」。
そして、「リアル」と「ネット」。
片や宗教的、片や科学的と一見かけ離れているような要素たち。それが文字通り神様の起こした奇跡の如く見事に絡み合い、少し卑屈な主人公のみならず読み手自身をも科学技術が創り出した神秘の世界へと誘ってくれる、そんな作品です。
少しづつ明かされる主人公の秘密、彼に関わる様々な人々や神々との繋がり、そして全ての始まり……並び続ける「データ」の果てに待つものは……?
神々との奇妙な「宴」もしくは「動画配信」、皆様も視聴予約をお忘れなく。
出だしから作者の挑戦が見てとれる作品だと思った。
奇抜な表現。それが単なる奇抜さではなく、読めばわかる理由を持ち合わせている。
そしてこれも読めばわかるが、Web上、それもスマートフォンから読まれることを想定した技法の数々。
途中のあの回あたりとか、あれをやりきった勇気がすごいなぁと感心します。(ネタバレにつき曖昧)
ここまでは見た目に拘った技法の話。
ここからはストーリーと設定に目を向ける。
「神さまのネット進出を手伝ってほしい」「信仰を集めたい(家賃を払いたい)」そんな小賢しい思惑で主人公を巻き込んだ女神だったが、逆に主人公には脅されてしまい――
掴みは上々、そこから物語は予想外の道を歩んでいくので一気に読み進めてしまいました!
前述した技法を可能とする設定でありつつも、それが飾りではなくしっかりと主人公たちの行動原理に結び付くものとなっている。
テーマも現代にそったものとなっていて、とても考えやすかったです。
ベースがとっつきやすいので、いくらでも話が広げられると思います。番外編、続編、なんでもいけると思います!
……電子書籍なら出版できるんじゃないですかねぇ、KADOKAWAさん
技法のバランスがまだ不馴れそうなので、上手いこと噛み合えばさらに面白くなること間違いなし!期待値と挑戦への勇気も含めて☆3つです!
『ネット小説でしかできない表現』。このコンセプトをとても分かりやすく、そして情熱的に追及した意欲作だと思います。
中盤のシリアス展開や終盤の怒濤の展開など、個人的にはとても大好きな表現で心動かされました。序盤に抱いた印象とは打って変わって涙腺を直撃し、一つの物語の中でここまで化けるとは予想外でした。
ただやはり他の方の指摘にもあるように、序盤の掛け合いや展開にどうしてもチープさを感じ、そこが評価の伸び悩んでいる原因なのかなと思います。
物語を読み終えた後に思い返すと不必要ではないのですが、ネット特有の表現にこだわるあまり、ネット小説特有の長所である『読みやすさ・分かりやすさ』が削れているように感じました。名作になれるポテンシャルを感じただけに、とても『惜しい』気持ちになりました。
とは言えこういうオンリーワンな作品は、それだけで価値があり一読のオススメができます。
ネット小説でしかできない、ネット小説でやるからこそ意味があるんだ!といった熱いものを感じました。
読んだ人に何か考えさせるものを与えられる、良い作品だったとは思います。記録よりも記憶に残る作品でした。
ひねくれた主人公とその幼なじみによる序盤のラブコメっぽいやりとりから、
東西の神様が跋扈する『いんたあねっつ』の奇妙な世界へ。
ファンタジーもラブコメもシリアスなドラマも盛り込まれた、
たいへん読み応えのある贅沢な作品です。
本作品の最大の特徴は、中盤から始まる奇抜な文章表現の数々でしょう。
具体的にどんな表現が行われているかは読んでみてからのお楽しみですが、
ここまでやってる作品はカクヨムでも『ネ申ネト』だけだと思います。
最大の特色は最大の難点でもあります。
大きな驚きと新鮮さを得られる一方で、物語への没入感を損なってしまうのです。
感情を伝える『Emotion mail』など、SF的なアイデアまで駆使されるのですが、
賑やかな神様たちがはしゃぎまくって『エモメ』を使いまくるたびに、
その奇抜な表現を理解しようとして私の読書がピタリと止まってしまいます。
特に神様の『アン』や『ブミヤ』が出てくると、
私の読書テンポがボロボロに乱されてストレスがピークに。
言ってることがさっぱり頭に入ってこねーよ!
終盤のエピソード全体に渡る特殊な文章表現は、一目見れば間違いなく驚きますが、
もう小説の枠をはみ出してしまっていると思います。
良くも悪くも、普通の読書をさせてくれない作品なんです。
かといって、私はこの難点を修正してほしいと思っているわけでは決してなくて、
この特色を失ってしまったらこれはもはや『ネ申ネト』ではなくなってしまうと思います。
面白い設定や世界観、丁寧に織り込まれた伏線、表現は斬新だけどひたすら読みにくい!
この作品に必要なのは、読みやすい作品への改稿というより、
この斬新さを理解できる読者なのではないでしょうか。
そんなわけであなたもぜひ読んで理解者になってみてください。
間違いなく名作だ。他の誰がどう言おうが自分は言い切る。多分作者の全身全霊に近い哲学がこれでもかとぶちこまれている。最初から最後まで全部続けて読んだら、わかる人にはわかると思う。私の戯言の意味が。
序盤の掛け合いはボケの猛ラッシュがハイスピードで、ずっとこのテンションだと私はヤバかっただろうけど、それは序盤だけだった。削れるとこがもうない、無駄がないっていう作者の呟きは真実誠で確かだった。
見所はたくさんある。気になった突っ込みどころも序盤に1ヵ所ある。でもそれは大したことじゃない。
いい作品を読めて良かった。また時間のあるときに繰返し読んだら、二度目三度目の美味しさがあるだろうから。きっとそうする。
こんな神がネットに溢れていたら、私も居場所をなくすかもしれない。
最近流行りの『ネット通じて「信者」増やして信仰心募ろうぜw!』って感じの物語です。
その最初の動機や本編の内容の一貫は頑張った。
よく頑張ったよ。楽しいかった。
しかし最期らへんは露骨に字数稼ぎに走ってるので、全体の比が狂う。
やりたいことはわかるんだけど、それをほかで補えてたらまだ許せていたとも思う。もしくはこれだけ『ある種無意味な表現を』過剰につぎ込む真似をしてなかったら、もっと評価できた気がする。
これ縦書きの文章に置き換えたらと思うと、完全に後半読めたもんじゃないとまた思う。
手を抜いたとは思えないけど、世界観の設計に即してもうちょっと真面目に取り組んでほしかったな。
今後の期待を込めて☆二つで。