死に物狂いで死んでみて

作者 雪瀬ひうろ

1,106

427人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

感想やレビューにも目を通し、色々と推敲された作品なんだと改めて認識。
怒涛の無改行に込められた作者の魂やいかに。

最後の一文は数多の可能性を秘めた内容だと思う。
読む人が読めばハッピーエンドだし、バッドエンドだし、
まさにメリーエンド。

そして、その可能性は最後の行間をドラッグする事でより一層深まる。

なんだあの一マスは。
あそこにハマるべき言葉は一体なんだったんだ。

多分、俗にいう「そこまで考えてない唯のミス」の可能性だってある。
しかしこの僅か3000にも満たない文字数を書く作者が、意味もなくそんな痕跡を?

世に放たれなかった分だけ、妄想の幅が広がる。
俗にいう「後はご想像にお任せします」という事なのだろう。

作者の意図は読み取った。
後は思う存分、ご想像の世界に浸ろうか。

★★★ Excellent!!!

読み終わった時、思わず頭を抱えてしまいました。
これ程までに圧倒された短編はカクヨムを読んできて初めてです。

文章量からは考えられない濃厚な物語。描写が丁寧かつ繊細に描かれており、主人公の「死」に対する葛藤が恐ろしいほどリアルで震えました。
切なさと感動を一瞬で味わえるかつ、深く考えさせられる作品でした。

書いてくださった作者様に畏敬の念を込めて。
素晴らしい作品をありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

主人公が死ぬまで「彼女」が死んでから80余年、妻と連れ添って50年。
このことから自分が晩婚でも、長寿でもだいぶ幼い頃に「彼女」と死に別れたことになります。幼い主人公に自分自身を殺す、という選択肢があったのでしょうか?
彼女は自分自身、とも考えられます。主人公は彼女の「私以外の女を目でおっかけるな」という言葉に対して沈黙していますし。しかしそれだと彼女は何故「死んだ」のでしょうか?何故主人公はそれに気が付き、葬式をし、そして打ちひしがれたのでしょうか。さらに、一体どんな自意識があればその自分自身から死ねばいいのにと声をかけ続けられるのでしょうか?
短編ですが、考察をしながら自分自身も向き合える良質な作品でした。

★★ Very Good!!

カップルの会話形式で軽快にスタートした序盤。
中盤で「あ…そういうことか…」。
ラストで「え⁉︎どういうこと⁉︎」。

一度最後まで読んだ後、すぐにまた読み返したり、他の方のレビューの解釈を読みたくなる作品です。
そこまで込みで、とても楽しい時間でした。

★★★ Excellent!!!

「死ねばいいのに」
自分だけ幸せに生きる事への罪の意識からだったのでしょうか?
はたまた、その存在に「死ねばいいのに」と言われ続ける事で逆に支えられ、生きていけたのでしょうか?
いつでも死ねると思えば人生楽ですし、最後の悪あがきでもしてみようかな?なんて思えるし。


切ないですが、時間の経過と共に悲しさは薄れていきますからね。
親であれ、恋人であれ、ペットであれ、失った時は暫くドン底に落ちますが、時間が経過すれば人って幸せに生きていけるんですよね。
でも、それでいいのだと思います。
生きるってそういう事です。

そう前向きに思える作品でした!

私にはハッピーエンドに感じました。
幸せに生き抜いたからこその、最後の一文だったのだと解釈します。

Good!

「もう死のうかな」

誰もが一度は思ったことがある言葉だろう。
職場での失敗? 先生に怒られた? 親しい人の死?

なんにせよ、このレビューを読んでいる貴方はそう思っても死ぬことを選ばなかった一人なのでしょう。

「なぜ私は生きることを選んだのか?」 

「なぜ今ものうのうと生きているのか?」

貴方も考えてみてください。

★★ Very Good!!

気軽に読み始め、最後で引っかかり、読後に考え込む。レビューを書いた他の方と同じプロセスを、私も辿りました。
文字数が少なくエピソードを書き込む余地が無いので、別に何かに感動したとかではないけれど、確かに読者の記憶に残る作品ですね。
星の数は、短編にはMAX2つが信条だからです。

★★★ Excellent!!!

タイトルが気になったので覗いてみたら、気が付けば最後まで読み終わってました。

2000文字でここまで詰め込めるものなのか、と思いました。
グイグイ引き込まれて、引っ張られて、そして最後のワンフレーズ。
今まで勢いよく引っ張っていた手がパッと離されたような、大げさかもしれないけどそんな衝撃を受けました。

ぜひ、いろんな方に読んでいただきたいです。

★★★ Excellent!!!

評価も高いし短そうだから、寝る前に少し読んでみるかな。なんて思って気軽に読んだら、どんどんのめり込んで、最後の最後にやられました。
勢いのある文章で心を昂らせたあとのラストシーン。でもタダでは終わらない。最後のフレーズを読んだとき、リアルに心臓がドキンとしました。
ああ、これが心を掴まれるということなのでしょうか。

★★★ Excellent!!!


読了から数日経って、本当に今更なのですが、自分なりに解釈が纏まったのでレビューを書かせていただきます。

作中、主人公と彼女の思い出は、ちょうど走馬燈のように足早に駆け抜けていきます。
J-POPを皮肉るような一節がありますが、読んでいる心地としては、メルヘンチックな歌を聴き流しているような感覚でした。

そこまではいいのです。
それだけならば、僕はこの作品にここまで取り憑かれることは無かった。

最後に放り投げるようにして手渡された言葉が、あらゆる可能性を孕んでいて、そして、それをきな臭さすら感じてしまうくらいに、明け透けに漂わせているので、僕はこの言葉を、この物語をどう解釈すればよいのかとうんうん頭を悩ませました。

自分なりの解答には辿り着いたつもりです。
それをここで吐き散らすということはネタバレに直結し、あまりにも野暮な行為だと思うので、控えさせていただきますが……

してやられた。そんな気持ちと同時に溜息が出そうなくらい今はすっきりしていて、素敵な読了感に浸っております。

未読の方はどうかご一読を。
そしてこの物語の、しこりのように引っかかる違和感と向き合い、思い切り考えてみてはどうでしょう。

Good!

「死ねばいいのに」と言われてそうそう死ぬ人はいない。ごもっとも。
「死ぬほど苦しい」だけどそれで死ぬ訳じゃない。ただの副助詞で比喩表現なんだから。

死ぬほど苦しくて、そう約束したにもかかわらず、それが出来なかった主人公はきっと死にたくなかったんですね。でも罪悪感からそう詰め寄る幻影を作り出していたのかもしれません。
確かに作り出したのは自分の都合が良い幻影かも知れませんが、もし現実に存在していてもそう言って発破をかけていたかもせれませんね。
夢でも妄想でも、そうやって出て来てくれるなんて羨ましい限りです。
そしてその言葉があったから、彼は最後まで彼女に会う事が出来なかったのかもしれませんね。

タイトルに反して、とても心温まるお話でした。

★★ Very Good!!

 「死ねばいいのに」という言葉は、世間ではあまり歓迎されません。とはいえ、他人について評するとき、この言葉を我々はついつい使用してしまいます。そのような言葉である「死ねばいいのに」から始まる物語で、結末がどうなるのか楽しみにして読み始めました。

 真に迫っていたと感じた場面は、一日経って起き上がった後のところです。そうだよね、健康的な人間ならこうするよね、という描写が続きます。とても素朴な場面ですが、それゆえに現実感があります。

 最後の一言はコンクリートのように固く、打ち捨てられています。それまでの部分を温かく読んだ読者には冷水を浴びせ、「なんでぇなんでぇ、そんなんアリかよ」と読んでいた読者には溜飲を下げる隙間を与えてきます。どんな人が読んでも、読み終わった後にちょっと手を止めて考える時間を取らせる文章です。ご一読をおすすめします。