ラノベ、ネット小説の世界を書店側から見た、マーケティング×お仕事もの!

 昨今、ネットショッピングの(ある意味で)焼き畑農業的な戦略により青息吐息の書籍小売店業。
 データによると一日一軒のペースで閉店に追いやられているとか。

 この体験型エッセイは、作者さんが閉店間際ぎりぎりの二年間勤めていました。
 その間販売した作品、売れ筋の推移、ネットやアニメとの連動で変化する売れ行き、レーベルごとの戦略が余すところなく書かれています。

 作品のカラーでネットの方が売れる作品、ある意味で独壇場、自分のカラーを出せるラインナップ、『あのビニールのやつ』を一冊ずつかけていく手間ひま。
 どれも想像や取材しただけでで書けるものではなく実際の経験値が如実に生かされています。

 ネット小説を紙書籍、大手出版社で上梓したい、そんな人にもお勧めです。
 もちろんこれを読んで今すぐ、などというものではありませんが、本を買ってくれる方、顧客の傾向を読み解けば見えてくるものも多いはず。

 作者さんへ――――小売店が寂れていくのは時流です。個人的にもとても寂しいですが、決してあなたのせいじゃありません。

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