私書店員、ラノベ担当。

コミナトケイ

はじめに

小型書店はつらいよ。

 今からちょうど半年ほど前になりますが、小さな書店が潰れました。

 駅からやや離れた位置にある、かつてはどこにでもあったような町の本屋さん。

 

 筆者はそこで2年間という短い期間ではありましたが、そのうち最後の1年を文庫担当として、閉店1日前まで勤務しました。

 掛け持ちバイトだったので閉店日に立ち会えなかったのが心残りではありましたが……

 

 その前も駅前かつそれなりの大きさの書店で、雑誌担当としてそれなりに長く勤務しておりましたが、そこでも業務の大幅縮小に伴う撤退のため、閉店を経験しました。

 つまり筆者は2つの小~中規模の書店の閉店に立ち会ってしまったという、稀有にして不本意な体験をしてしまったということになります。

 別業種も含めると実はもう一店あるんですが……それは本稿に関係ないので割愛させていただくとして。


 自分が疫病神なのだろうかと思い悩んだこともありますが……

 そのへんの自分語りは本稿の趣旨とは離れるので今後ともあまり触れることはないかと思います。



 本稿の主題はそのようなところにはなく、カクヨムという場の読み手さまにとりましてもっともご関心の深そうである、文庫――もっと言えばライトノベルのことを中心に書き散らかしていくことにあります。


 販売店はおろか、去年の栗田出版販売、今年の太洋社のような――出版社から本を手配し、各書店に分配するいわゆる「取次」ですら破綻する昨今。

 出版業界は不況だなんて言われて何年も経ちますが、その実情は想像よりもはるかに厳しいと言わざるを得ません。

 大手書店ですら倒産することも珍しくないのですから、小さな書店ならばなおさらです。



 本を仕入れても売れない。



 そんな中、小~中規模の書店にとって新たな救いの手となりえるかもしれないと期待されたジャンルが数年ほど前から台頭しはじめます。

 それがWEB小説発と銘打った、新しい分野から伸び始めた小説群です。


 筆者の務めていた書店でも、復活のための最後の切り札として、カドカワさんでも出されている「MFブックス」といった、従来のライトノベルでは当たり前であった文庫サイズよりも大きな「四六判」本の大幅な増数に踏み切りました。

 それに合わせて筆者の担当する文庫――特にライトノベルも重点強化が図られることになりました。

 

 本稿ではその際に経験した苦労や気付いたことなどを、なるべくおもしろおかしく書いていければなあと思います。



 ――しんみりした雰囲気はこの冒頭にだいたい吐き捨て。

 不定期の更新になるとは思いますが、少しでもお楽しみ頂ければと思います。


 それでは、次の更新の際にお会いいたしましょう。

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