熱さには、種類がある。

歯を食いしばり、ダウンに耐え、リングを踏みしめて渾身の一撃、ラッシュでKO…

ボクシング小説と聞けばそんな描写を想像しますが、この作品で描かれる熱さは、そういうものとはひと味もふた味も違う。

この作者さんの小説は、他の作品も含め、この「熱さ」が本当に好きです。


特に、この作品で語られる「強さ」の本質。それは作品全体の大きなテーマとなって物語を貫いていますが、それは「なぜ格闘技をやるのか」ということへの回答なのだと感じられます。

だからこそ、ロニーは最後、あの感じだし、アキラもああなのでしょう。


格闘技、武術はつまり、人と人との関わり合いの術であります。

この作品は、血液や身体や精神の熱さだけでなく、関わり合いの熱さを丁寧に描いて、心を震わせてくれます。

読んだ後に、スポーツをした後のような爽やかな気持ちになれる、そんな素晴らしい物語でした。

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