ガンナーズワールド

『銃』を扱う主人公たちの人生を描いた物語集。
現代におけるミリタリードラマで、我々の過ごす日常が戦場へ一変する世界。（話によっては現代以外もあったりします）
ひとたび戦場へ移り変われば、命はとたんに軽くなります。作中でも大勢の死人が出てきます。

銃を手にするきっかけは、主人公により様々です。反逆するために戦う者、救出するために戦う者、狂気に抗えず戦う者……。
彼らが銃を手にすれば、戦士の顔つきに変わります。
残虐性はありますが、それを超える格好良さや哀愁に胸を打たれます。

各話に挿入される銃に関する蘊蓄があり、様式美を感じさせます。銃に疎い私でも「今回はこんな銃なのか！」と毎回ワクワクさ…続きを読む

オムニバス形式の短編集。毎回、様々な種類の『銃』が登場し、ストーリーが展開される本作ですが、ストーリーひとつひとつの完成度が高く面白いです。
どんでん返しとかそういうのはないけど、人間の情緒や心理がよく描かれていて、読んでいて胸に来ました。
けっして他人事じゃない、明日は我が身かもしれないと思える良作です！

主に、人間関係の再現度、というか、設定がしっかりしていて、この人がこうなったら親しいその人はそうなる。
といった、人間関係の表現がすばらしく、短編集のはずなのに、長編小説を読んでいる気分にさせてくれます。
それに、世界の理不尽さや、人間の闇と醜さ、そこら辺がしっかりと表現されている作品が多く、作品にに引き寄せられるような感覚に襲われました。

作者さんの過去に何かあったのか少し心配になりますが、すばらしい作品たちをありがとうございました。