ガンナーズワールド
三八式物書機
少年✕狂気
-僕は何のために生きているのだろう-
-何故、いっそ殺してくれないのだろう-
-自分などどうなっても良い-
-死にたい-
僕は・・・どれだけ死にたいと願っただろう。
退屈な授業を聞きながら、頭の中はいつも懐かしい洋楽が流れている。タイトルなんて知らない。有名なバンドの歌らしい。そのメロディーと歌詞は不思議と気持ちを和ませる。あのラジオから流れてきたメロディーが僕の脳裏をいつまでも駆け巡る。
義務教育最後の学年。来年には皆、高校生活を楽しんでいるだろう。その頃、僕は何をしているのだろうか?死んでいるなら幸いだ。生きているなら・・・覚めない悪夢をただ、見ているのだろう。
「瀬田、瀬田」
誰かに呼ばれている。目を覚ますとそこには気に入らない顔があった。その顔を見る度に僕は吐き気を催す。
「おい、シカトするなよ」
いかにも友達面して彼と彼の仲間は僕を教室から連れ出す。
人目の少ない階段下で僕は彼等に囲まれる。どいつもヘラヘラと笑っている。気持ち悪い奴等だ。するとリーダー的な存在の奴が俺の胸倉を掴んで話し掛ける。
「金はどうした?」
「そんなもんは無い」
彼はいきなり俺の腹を殴った。
これまでも何度も殴られた。
抵抗はしない。抵抗すれば、奴等は面白がって余計に殴ってくる。
こいつ等は弱い奴を見つけては痛めつける。そしてそれを見て見ぬ振りする連中。それが学校と言う檻だ。イジメというのは学校におけるカーストを体言化した行為でしか無い。
イジメはいけない。そんなのは誰もが知っている。だが、無くなりはしない。それが大切な儀式のようなものだからだ。多くの生徒が自分達を守るために少数の生贄を欲するのだ。
休憩時間中、僕は罵声を浴びせられ、殴られた。だが、それはいつもの事で、殴る奴は笑い、関係の無い奴等は嫌な顔をしながら関わらないように無視している。それが教室という狭いコミュニティの常識だった。
「次は古典の時間か」
退屈な古典など出る気は無い。
授業をサボれば、内申に響く。だが、そんなのは進学を考えている奴の考えだ。僕は進学など出来ない。親は・・・いや、親代わりの人からは中学を出たら働きに出ろと言われている。無論、児童養護施設などに入るという手もあるが、何はどうであれ、僕は遥か昔に捨てられた存在なんだ。
授業をサボり、体育館の裏に来た。ここは日陰で滅多に人は来ない。そもそも学校でイジメに遭うぐらいなら学校自体をサボれば良いのだが、親代わりの人からの体罰はイジメを遥かに上回るぐらいに酷いのでとりあえず学校に来ているだけだ。
―誰も僕をこの地獄から助け出そうなんて考えている奴は居ない―
そう思えば、無駄なことを敢えてしようなんて考えない。ただ、一時でも安らぐ時があれば良い。
空を見ると白い雲がゆっくりと流れる。平穏だった。こんな時間だけが過ぎれば良いと思った。だが、それはすぐに破られる。
「おい、瀬田!」
体育教師の大隈が酷く激昂した顔で立っていた。
「お前、授業をサボるつもりか?」
正確に言えば、まだ、休憩時間中だ。だが、こいつには通用しない。こいつは普段のストレスを俺で解消する。指導と称して、俺をこっぴどく痛めつけるのだ。無論、体罰をすれば解雇される可能性があるので、殴っては来ない。だが、俺を捕まえて散々、上からあること無いことを暴言交えて、怒鳴る。大隈の怒声が響き渡り、俺はただ、謝るだけという構図がこれから20分は続く。
奴は散々、怒鳴った後、スッキリした顔でどっかに行く。クソみたいな教師だ。だが、奴が特別、くそ教師だとは言えない。他の教師もいじめを知っていても無視をしている。校長だって、いじめの現場を見ても知らぬ顔なのだから。この学校は上から下まで腐っていた。公立だからだろうか?公務員教師など、厄介事に首を突っ込みたくないのが本音だろう。解かり易い連中だ。
-多分、明日、僕の存在が消えても、誰も悲しまない。むしろ笑い話ぐらいにはなるか程度のことだろう-
僕は不意に学生服の上着を捨てた。上着は土埃に塗れ、白く汚れる。
-もう、生きる事を諦めよう-
そうだ。僕は、この瞬間・・・死んだ。死んだんだ。
僕は授業中の誰も居ない校舎を駆け抜ける。そして、密かに木工実習室に入る。そこでノコギリを手に入れた。それを持って、学校裏手の竹林に入る。そこで直径10センチぐらいの竹を切り出す。1メートルぐらいの長さに切り、さらに先を斜めに切る。この角度は出来る限り鋭角にする。竹槍という奴だ。
竹槍と聞くと、戦時中に婦人や児童が軍事訓練で刺す訓練をしたというぐらいしか聞いたことが無いだろう。だが、実際に竹槍は十分な殺傷能力を持っている。突き刺すと竹の厚みに刺さり、さらに輪のような傷から血がドクドクと竹筒の中に入り、溜まっていく。それは管のような役割を果たし、人間から多くの血を流れ出させる。下手な刃物以上に危険な武器だ。
僕はノコギリを捨て、竹槍を持って、家路を急ぐ。竹槍と言っても、ただの竹の筒だ。パッと見ではそれを持っていても誰もそれが武器だと思わないだろう。その証拠に道行く人は誰一人として、危険だという感じには見なかった。
自宅マンションへ帰って来た。家には保護者の男が居る。彼は死んだ父親の兄弟に当たるらしいが、死んだ両親の遺産欲しさに僕を保護したような奴だ。そして、彼の仕事は暴力団の武器庫番らしい。銃などの違法な武器を管理するのが彼の仕事だ。
「なんだぁ?クソガキじゃねぇか?学校はどうした?」
彼は僕を疎ましく思っている。それは時に暴力となる。だが、今日は多分、薬をやっているせいか、大人しい。都合が良かった。僕は何の躊躇もなく、ソファに寝転がる男の胸に竹槍を突き刺した。ドスンと重い衝撃を手に感じる。やはり簡単には竹槍の刃先は奥に入っていかない。男は目を見開いて、僕を見ている。口は何かを言いたげだ。
「これまで、色々あったけど、とりあえず生かしてくれてありがとう。でも、僕も死ぬから、先に逝っていてよ」
そう、彼に次げた。そして、力の限り、竹槍を押し込んだ。竹槍が貫通することは無かったが、かなりの深さまで入った。男は白目を剥いて、死んだ。多量の血が竹槍と肉体の隙間から流れ出している。床のカーペットが汚れていく。
「これが・・・死か」
死んだ男を見て、僕は微かに笑ってしまった。人が死ぬってのは思った以上に簡単だった。もっと、抵抗するとか、苦しむとか、あるのかと思っていただけに拍子抜けだ。僕がこれまで想像していた地獄のような苦しみとは雲泥の差だ。こんなクズをこんなあっさりと殺して良かったのだろうか?それは己の罪じゃないかとさえ思ってしまう。
だが、彼を殺す事は僕が考えた計画の準備でしか無い。彼が持つ鍵で、鍵の掛かったウォークインクローゼットの扉を開く。そこには暴力団が集めた武器や弾薬が置かれている。全部を持ち出すのは意味が無い。使い勝手などを考えて自分に合った物を選ぶ為に色々と触りながら考える。
まだ、中学生。しかも栄養不足なのか、標準より小柄な少年が持つ銃としては反動が少なく、小型な物が良い。特に銃把は細い物が良い。そうするとリボルバー拳銃などは適切かもしれない。だが、これでは相手が多数の時に不利だ。最低でも10発以上は弾を連発させる必要がある。そうなると選択肢は自動拳銃だ。
少年は銃に左程、詳しくないが、ちょうど手頃なサイズの拳銃を発見した。
スターム・ルガー MkⅠ
22口径の自動拳銃だ。全体的にほっそりとした形状をしている。弾も見た目にも小さい22LR弾を使うし、この倉庫の中にある弾では一番、在庫が多い。銃も5丁もあるから、2丁を使って、残りの銃からはマガジンだけを取った。銃自体は傷などもあって、中古品という様相だが、特に問題があるようには見えない。弾も数えると300発程度がある。それらを全て、学校用のデイバッグに詰める。
ウォークインクローゼットから出てくると胸に竹槍を刺された叔父の姿が目に入る。。床は血溜まりが出来ている。動かなくなった叔父を見て、少年はまるで生ゴミを見るような目をする。そのせいか、酷く臭いがしそうな感じだ。気持ち悪くなりそうになりながら彼は家を出た。
外はすでに夕闇に染まっている。
-道具は手に入れた。これで死ねる。死ぬ為に必要な儀式を始めよう-
少年は闇に包まれようとする街へと消えていく。
鈴川銀河は家族で食卓を囲んでいた。夕食はハンバーグだった。父親は大手出版社のサラリーマン。母親は昼間に近くのスーパーマーケットにパートに出ている主婦。そして、小学生の弟と妹。家族5人はそれほど大きくは無い戸建の家で平穏に過ごしていた。
ピンポーン。
そんな時にチャイムが鳴る。母親がインターフォンのモニターを見る。
「はい・・・どちら様ですか?」
『銀河君の同級生ですが』
モニターには確かに中学生ぐらいの少年が立っている。母親は不思議にも思わずに銀河を呼ぶ。
「たく・・・誰だよ」
彼はそう言いながらモニターを見た。そこには知っている顔があった。
「ナンだよ。瀬田か。何しに来たんだよ?」
『君に渡す物があって』
「わ、渡す物ってナンだよ?」
一瞬、銀河は動揺する。
そうだろう。彼はイジメる側の人間だ。イジメる側と言っても、元は瀬田の友達だった。しかし、教室で瀬田へのイジメが始まった時、彼を裏切り、イジメ側になった。そんな彼の元にイジメられている側が来て、渡したい物がある。昼間のことを思い出した。そうだ。彼に金を要求していたのだ。まさか、ここに金を持って来るとは思わなかった。家族に自分がイジメをしているなんてバレたら洒落にならない。
「お、おう。今、行くから」
慌てて玄関へと向かった。扉が開く。
「おい、てめぇ、何しに来たんだ?金なら明日、学校へ持って来いよ」
「あぁ、すまない。だが、金じゃないんだ」
少年は鞄から拳銃を取り出した。そして銃の後端にあるボルトを引っ張る。初弾が装填される。そして、銀河に銃口を向けた。その意味がまったく解らない銀河は呆然としている。その間抜け面を見ながら少年は躊躇なく、撃った。
まるで爆竹が爆ぜたような音が響く
「えっ・・・ぐぅ」
銀河は腹を抑えた。
22LR弾は打撃力が低いが、貫通力は高い。腹に弾は入り、内蔵を貫通した。銀河は突然の事に何が起きたかわからない。とにかく腹が熱く、痛い。そして力が入らずに立っていられなくなった。その場にしゃがみ込む。
「ここじゃ、目立つから、中に入ろう」
少年は銀河の襟首を掴み、玄関の中に引っ張り込む。
「や、やめ・・・ろ」
銀河は抵抗しようとするが力が入らず、玄関に引き摺り込まれた。
「ふむ。初めて撃ったが、思ったより簡単だったよ。ちょっと君の家族で練習させてもらうから」
少年は銀河をその場に放置して、土足で家の中に入る。食卓の扉が開く。
「銀河、誰だったの?」
銀河の母親は少年を銀河と間違えた。少年はその顔面に銃口を向けた。数センチの距離での発砲。ストレートブローバックのボルトが勢い良く後退して、エジェクションポートから空薬莢が飛び出す。
いかに小さな弾丸でも、至近距離で額を撃ち抜くのは簡単な事だった。だが、さすがに弾丸は後頭部の頭蓋骨までは抜けなかった。脳を破壊して止まったのだろう。
母親が撃たれて、食卓に着く父親や二人の兄妹がハッとなる。乾いた銃声は室内に響き渡った。狙うのはまず、父親。大人の男は厄介だ。少年は冷静に且つ、素早く、銃口を向ける。父親は椅子から立ち上がった。
少年は撃つ。
弾丸は父親の眉間を撃ち抜いた。
二人の幼い兄妹は恐怖で顔を引き攣らせて動けない。少年は彼等をそっと狙った。連続する銃声。幼い兄妹は顔面を撃たれて、床に転がる。
「映画で見るより、地味だな」
派手さで言えば、さっきの竹槍の方が遥かに派手な殺戮シーンだった。この拳銃で撃っても出来るのは小さな穴だけだ。無論、それで体内の臓器は破壊される。当たり所が悪ければ、確実に殺せる。
四人の動きが無いのを確認してから、玄関に戻ると、銀河が痛みに苦しんでいた。腹からはかなりの量が出血している。放置しておけば、死ぬだろう。
「苦しそうだな?」
そう尋ねるが、銀河に答える力は残って無さそうだ。
「まぁ、自分の家族の死んだのをしっかり味わえよ」
少年は玄関に転がる銀河を狙う。まずは右腕。弾丸は腕にめり込む。次に左腕。当たる度に悲鳴が上がる。そして、右足、左足を撃った。最後の一発を再び、腹に撃ち込む。それで彼は動かなくなった。ただ、気絶しただけなのか、死んだのかは知らない。仮に死んでいないとすれば、残された僅かな時間をしっかりと苦しめば良いと少年は思った。
-練習は終った。次は本番だ-
そして家の鍵を奪い、扉を戸締りして、その鍵を家の前の側溝に放り捨てた。彼はそのまま闇夜へと消えた。
男は酔っ払いながら家に帰って来た。一人暮らしの男の家は、学校近くのアパートだ。
「ふぅ~。明日も学校か。早く寝て、酒を抜かんとな」
扉に鍵を挿し込んで回す。ガチャリと開錠された音がした。ドアノブを回して扉を引いて開ける。その瞬間、乾いた銃声が背後で響いた。背中の腰当たりが熱い。だが、そのまま蹴られて男は玄関に倒れた。そして扉が閉められて、銃声が二発鳴って、両脚が撃たれた。男は叫んだ。
「うがああああああ!何だぁあああああ?」
「大隈先生、ちょっと五月蝿いですよ?」
少年の前に倒れているのは体育教師の大隈だ。彼は必死に仰向きになる。
「お、お前、お前はぁ・・・瀬田か?」
大隈は相手が瀬田だとわかり、怒っているのか、悔しいのかわからない微妙な顔をしている。
「先生、死を前に、何か言い残す事は?」
「死、死だと?お前、自分のやっている事がわかっているのか?」
大隈は痛みに耐えながらそう怒鳴る。
「五月蝿いな。近所の人に見付かるじゃないか。黙れよ」
銃声が鳴り響き、大隈の口から弾丸が入った。その弾丸は彼の喉を貫き、首の骨に当たり、停まった。大隈はそれ以上、何かを言うことは無かった。
少年は静かに扉を閉じて、大熊から奪った鍵で施錠をした。幸いにもアパートの住人はこの騒ぎに気付いていないようだ。何処でも同じだ。他人に興味は無い。鍵は近所の川に投げ捨てた。
あまりにアッサリと大隈を殺した。もっと苦しめて殺すつもりだったから、あまりの呆気なさに殺した実感すらわかない。少年はつまらないと思った。そして、闇夜へと消えていった。
翌朝、何事も無く多くの生徒達が登校してきた。
「あれ?大隈先生はどうなさいましたか?」
職員室での朝礼で、大隈が居ない事に副校長が気付く。誰も大隈からの連絡を受け取っていない。
「遅刻ですかねぇ。生徒に示しがつきません。大隈先生が出てきたら、すぐに私の所に来るように言っておいてください」
そうやって、職員の朝礼が終った。誰も大隈が学校に来ていないことに不審を思うことは無かった。そして担任を持つ教師達が朝のホームルームを始めるために教室へと向かう。
丸井紗枝。35歳で、同じ教師の夫と一人娘が居る。卓球部の顧問を務める。
彼女は憂鬱だった。生徒指導ノートと呼ばれる物を持って、朝のホームルームで渡すのだ。正直、教師として、部活の顧問としての雑務が多過ぎる。その中で生徒35人分の生活指導ノートを毎日、見て、返事を書いて渡すというのは地獄のようだった。大抵は、内容など頭に入っていない。ただ、パラリと見て、当たり障りの無い返事を書くだけだ。下手をすれば、ほぼ、同じ文句を書いているだけの日もある。
教室に着いて、出席を取る。二人の生徒が連絡が無いまま休んでいる。
「鈴川君と瀬田君が休みですけど、何か聞いている人は居ますか?」
教室中が少し騒がしくなる。
「わかったわ」
丸井は出席簿を閉じて、ホームルームを終らせようとする。
ガラリ
突然、教室の前の扉が開いた。そこには見慣れた少年が立っていた。
「あら・・・瀬田君・・・遅刻?」
そう丸井が尋ねた瞬間、少年は扉に近い場所に座っていた男子生徒の顔面を拳銃で撃った。弾丸は彼の眼鏡のレンズを破り、左目を貫き、脳へと侵入した。彼は椅子に座ったまま、死んだ。一発の銃声で教室内が一瞬、沈黙する。少年は左手にも拳銃を握った。
「全員、静かにしろ。殺すぞ?」
すでに目の前で一人を殺した。これほどの説得力は他には無い。誰もが声を出す事さえ出来ないのだから。
「さて・・・ここは僕が占拠しました。死にたく無かったら、机を廊下側に寄せて、一箇所に集まってください。逃げ出そうとすれば殺しますよ」
少年は無表情にそう言った。誰もが動けない。恐怖で体が強張っているからだ。
再び銃声が鳴った。今度は野暮ったい感じの女子生徒だ。彼女の胸元に弾丸が入る。彼女は胸を押さえながらグラリと傾きながら、椅子から転げ落ちた。
「な・・・なんだよ」
教室はパニック状態になった。後ろの席の一番扉に近い席の男子生徒が逃げ出そうとした。だが、少年はそれを予見していたように撃った。正確な射撃が彼の側頭部を捉える。彼は頭を撃たれて床に転がった。それで、皆が静かになった。パニックは収まり、真に恐怖で支配された。
「お、おい、今の音は何だ?」
隣の教室の男性教師が銃声に気付いてやって来た。そいつの顔面も撃った。彼は廊下に仰向けに倒れた。
「ふぅ、早くしろ。死体だけが増えていくぞ」
少年の言葉に生徒達は慌てて、机を廊下側に寄せた。そして窓側に集められる。
「ご苦労。それでは井上さんと遠藤さん。机で扉にバリケードを作ってください。外から中が覗けないようにお願いします」
少年はクラスの中でも気弱そうな二人にそう命じる。彼女達は慌てて寄せられた机を上に重ねて扉などが開かないようにした。そして廊下から中が覗けないようにもだ。そして唯一の前側の扉だけが残された。
「二人はもう、教室から出て行って良いですよ」
少年は二人にそう告げる。彼女達は戸惑ったが、泣きながら扉から出る。廊下では教師が射殺されて大騒ぎとなっていた。二人がクラスから出て、最後の仕上げを少年がやった。これで教室は廊下から入って来ることが出来ない。
「僕は、協力的な人には寛容ですよ?」
少年は集められた生徒達に向かったそう言う。誰もが「助けて」と騒ぐ。
「黙れ」
少年の一言で沈黙した。
「よし・・・まずは全員、身体検査だ。裸になれ」
その言葉に生徒達が動揺する。
「はぁ・・・わかっていない奴等だな」
少年は彼等に銃口を向ける。彼等は慌てて服を脱ぎ始めた。そして、全員が下着姿になる。
「おい・・・僕を舐めているのか?」
少年は苛立った感じだ。その時、外ではサイレンが鳴り響く。パトカーが到着したようだ。
「僕は裸になれと命じたはずだけど?」
「は、裸になったじゃない!」
丸井がそう叫ぶ。
「はぁ?下着姿が裸か?お前等、どんだけお子ちゃま何だ?」
少年の言葉に、その場に居る全員が戦慄する。だが、銃口を向けられては逆らえない。大人しく、彼等は下着すら脱いだ。
「丸井先生・・・ちょっとお腹周りがタプタプしていますよ」
少年は丸井の熟女ならでは脂肪の付き方を見て、笑う。屈辱的な笑いに丸井は顔を引き攣らせ、卒倒した。
「瀬田君・・・何が狙いなの?こんなことしたら警察に捕まるわよ?」
丸井は怒りに満ちた瞳で彼にそう言い放つ。
「警察か・・・ふふ・・・すでに人を殺している人間に言う言葉がそれですか?面白い先生だなぁ」
少年は静かに笑った。
その頃、学校から通報を受けた警視庁はすぐに所轄のパトカーを現場に向かわせた。そして、教師が銃で射殺されたという通報ですでに刑事部特殊部隊のSITも出動していた。最初に到着したパトカーの警察官達は現場の状況確認と、避難誘導だった。すでに学校の教師によって多くの生徒達がグランドに集まっていた。
「責任者はどなたですか?」
警察官はすぐに責任者を捜す。すると校長が出てきた。校長に対して警察官は口早に尋ねる。
「避難はどこまで出来ていますか?」
校長は緊張しつつも、冷静を装いながら答える。
「一クラスを除いて、全員が避難を終えたと思います」
「一クラスとは?」
「3―Aです。それと、3-Bの担任である岩佐先生が・・・」
校長は口籠る。それを察した警察官が言葉を繋ぐ。
「一人が殺されたと聞いておりますが?」
「その岩佐先生が隣の教室が騒がしいのを見に行って、廊下で殺されたそうです・・・その後はわかりません」
「なるほど。では、3-Aで異常が起きているわけですね。防犯カメラの映像などは職員室ですか?」
「はい」
「では、職員室で防犯カメラの映像をお借りします」
二人の警察官はグランドに整列する生徒達を見てから、校舎へと向かった。二人は腰から回転式拳銃を抜く。引鉄に装着された安全ゴムを外し、いつでも撃てるようにした。
「いいか、俺等の任務はあくまでも現場確認だ。慌てるなよ」
二人は昇降口から中に入る。そして、事件が発生中とされる3階にある教室へと向かった。教室は階段から上がると3-Aから始まり、教室が奥に四つ並ぶ。一番奥の部屋は今では使われていないため、倉庫兼、多目的室となっている。階段を上がり終えた彼等は廊下に転がる男を見た。リノリウム張りの緑色の廊下には赤い血が溜まっている。
「あれが撃たれた先生みたいだな?」
「どうします。近付きますか?」
警察官は互いに顔を見合わせて、考える。
「ここまでにしよう。人質も居る。不用意に犯人を刺激するわけにはいかない」
彼等はその場を去って行く。
グランドには次々と警察車輌が入ってくる。すぐに対策本部が設営された。グランドに整列する生徒達もより安全な場所に避難する為にバス会社からバスがチャーターされ、確保された近所の総合体育館に移された。
「SATも到着しました」
刑事部、捜査一課長はSATと聞いて苦虫を噛み潰したような顔をする。
「警備部の出番など無いぞ?」
「総監からの指示らしいですよ」
そこにSATの隊長が姿を現す。彼は指揮を執る捜査一課長の前に来る。
「SATのチームが到着しました。出来れば、配置に着かせたいのですが」
「それは困る。犯人に見付かった場合、交渉が難航する可能性がある」
捜査一課長は出来る限り、犯人を刺激しないように警察官の姿を見せないようにしたいと考えていた。だが、それにSAT隊長は納得しない。
「しかし、備えなければ、いざという時に行動が出来ません」
「とにかくこちらの交渉が始まっていない。SATの出番はその後だ」
そう言われて、隊長は不服そうにその場を後にする。
「交渉担当者を配置に着かせろ。犯人とのラインを確保する」
交渉を始める為に犯人との間に通信を確保しないといけない。電話などがある現場なら良いが、学校の教室では難しい。最近は中学生でもスマホなどを持っている可能性もある。そのどれかに電話をして犯人が取ってくれれば良いが、大抵は無視される。その為に交渉担当者が拡声器を持って、呼び掛ける。
「3-Aに居る方、聞こえますか?私は警察官の園田です。あなたの要求を聞かせて欲しい。こちらから、そちらに携帯電話を届ける。どうか受け取って欲しい」
その声は教室に届く。人質達は不安と期待が入り混じった顔をしている。
「警察か・・・。特に用事は無いんだけどな」
少年はマガジンを交換して、空のマガジンに弾を詰めている。
「さて・・・僕の目的の一つを達成させようと思います。まずは青山、立て」
少し悪そうな男子生徒が少年を睨みながら立ち上がる。
二発の銃声が鳴る。
青山は股間を撃たれた。弾丸は性器を貫通して、尾骶骨で停まった。激痛で青山はその間に倒れ込む。
「君はよく、僕の股間を蹴り上げてくれたけど、どうですか?自分の股間が撃たれた感じは?」
青山は嗚咽を漏らしながら泣いている。誰もが知っている。青山はイジメグループの主犯格だ。こいつのお陰で自分達はこんな目に遭っている。とても同情など出来ない。そうすると人質の中から一人の男子生徒がいきなり土下座をした。
「せ、瀬田、すまない。本当にすまない。俺が悪かった。これまでのことは謝る」
同じようにイジメをしていた小野だ。運動馬鹿でズングリムックリした巨漢だ。自分勝手で気に入らないと殴って言うことを利かせるような乱暴者だ。
「小野・・・思った以上に小心者だな?まさか、そんな簡単に謝るとは思わなかった」
少年は薄ら笑いを浮かべて、小野を見下す。その視線を感じる様子もない小野はただ、額を床に擦り付けながら謝るだけだ。
「た、助けてくれ。死にたくない」
「そんなに死にたくないか?」
小野は顔を上げた。教壇に座る少年の顔はこれまで見たことが無いほど、恐ろしい悪魔のような笑みだった。
「そうか・・・そんなに死にたくないか」
少年は少し考えた。いや、考える振りをした。この間は相手に変な期待を与えると思ったからだ。
「それじゃ、君の誠意を見せて貰おう。泉田を犯せよ」
泉田というのは女子生徒だ。彼女を含む、仲良しグループは直接イジメをする事は無いが、いつも影で少年の悪口や蔑むような事を話して笑っているような連中だったし、それは露骨に態度に出ていた。一度、少年からプリントが手渡しされた時など、気持ち悪そうな顔で受け取っていた。
指名された泉田は突然の事に怯える。
「な、なんでよ。なんで、私が・・・なんで!」
泉田は逃げ出そうとした。だが、その左の太股に向けて発砲した。足を撃たれて彼女は床に転がる。さらに右足の脛を撃った。悲鳴が上がる。教室中は地獄のようだった。泉田は「助けて」と叫びながら友達に手を伸ばす。友達達は怯えた目で見ているしか無い。
「小野・・・早くしろよ。それともインポにでもなったのか?」
最初の内は勃起させていた男子も居たが、この状況で全ての男子生徒が萎びていた。
「だ、だって・・・」
小野は両脚を撃たれて、泣叫ぶ泉田を見て、動揺している。
「じゃあ、てめぇも青山みたいになるか?」
小野は股間を撃たれて悶絶している青山を見る。そして、覚悟を決めたような表情になり、泉田に迫った。小野は泉田の痛む両足を掴み、力ずくで開く。
「いやだぁ!いやぁ!いやぁ!助けてぇ」
泉田はあらん限りの声を上げている。多くの人質達は耳を塞いだ。
開かれた両足の付け根に小野が初めて見る女性器が剥き出しになっている。泉田は思ったよりも陰毛が少ない。薄い桃色の性器を小野は凝視する。必死で暴れる泉田も力で小野に勝てるわけがなかった。ムクムクと小野の男性器が誇張してくる。
「すまん」
泉田の体の上に圧し掛かる小野。足から流れ出す血で小野も赤く染まる。特に前戯などない。性器同士が触れ合う。その恐怖に泉田が漏らした。生暖かい小水が小野の男性器を濡らす。そして、そのまま奥へと入っていく。
「ぎゃあぁあぁぁ。痛い。痛いよぉ。抜いて。抜いて」
泉田は激しく叫び、手足を動かす。だが、小野は腰をしっかりと前に押し込んだ。泉田の処女膜は破られ、男性器はその奥へと入り込んだ。
小野は少し痛いという気持ちと気持ち良いという気持ちがあった。その様子を少年は彼等の真横で見下ろした。そして銃口が小野の延髄に向けられる。
一発の銃弾が小野の延髄を貫く。小野の体は一瞬にして脳と体が分離された。小野の体は泉田を強く抑えながらその股間を貫いたまま、硬直した。小野の体はもう、彼の物では無い。まだ、彼の意識はあるだろう。それがどうかわからないが、彼はそのまま泉田の上に圧し掛かるように倒れた。
「い、いや!助けて」
泉田は小野の身体をどかそうとするが、体重80キロある巨漢は動かない。
「泉田。そのままでいろよ。そしたら、殺さずにいてやるよ」
少年はそう言った。泉田は拳銃を見て、全てを諦めたようにシクシクと泣くだけだった。
「小野は良い死に方だよなぁ。女とやれたんだから。青山なんて、もう使い物にならんのだから」
少年の笑いが教室中に響く。
銃声と悲鳴は警察官達にも聞こえていた。廊下の方から中をSITの隊員が教室内の様子を窺う為に盗聴器を仕掛けに来ていた。二人の隊員はその尋常じゃない悲鳴に動揺した。これまでも篭城事件は何度か経験したが、その多くは犯人が恫喝するために大声を上げていることの方が多かった。だが、今回は違う。人質を虐待している。あまりに危険な犯人だった。
天井からもファイバースコープが投入され、教室内が明らかになる。
「生徒の数が32人。教師が1人。全員が裸にされていますね。いや、一人だけ制服を着ていますね。隅で横にされている」
モニターに映された教室内を冷静に分析する担当者。
「課長、教室内の生徒の私物であるスマホの電話番号がわかりました」
相手が呼び掛けに応じないので、スマホが渡せない以上、こうするしかなかった。幾つかわかったスマホに電話を掛けていく。
少年はイジメグループの一人を立たせた。白井という男子生徒だ。こいつは靴を隠したりして、散々、悪戯をして少年を弄んだ奴だ。
「ごめん。本当にごめん。俺は青山とかに命令されただけなんだよ」
彼は何度もそんな謝りをした。どこか気持ちが入っていない。
「そうか・・・命令されただけか。木田を犯せよ」
木田は泉田の友達だ。彼女は悲鳴を上げる。だが、白井は意気揚々と彼女に襲い掛かる。多分、彼は興味本位で襲い掛かっているのだろう。
「静かにしろよ。殺されちまうだろ!」
白井は木田の頬を数発叩いた。それで木田は静かになった。そして、木田は手に唾を付けて木田の女性器に指を突っ込んで無理矢理濡らす。そして躊躇なく、そこに自分の男性器を挿れた。木田が痛みで悲鳴を上げる。だが、お構いなしに木田は腰を激しく振った。それは相手のことなど関係なしに自分が気持ちよくなれば良いという感じだ。いや、むしろ、相手が苦痛に顔を歪める様を楽しんでいるのかもしれない。互いの性器に血が絡む。そして、少年は木田の顔面に向けて発砲した。苦痛に顔を歪ませていた木田は二発の弾丸を顔に受けて静かになった。白井は一瞬の事で動きが止まる。そして目の前で動かない木田を見て怯える。
「おい、どうした。イクまでやれよ」
少年は笑っていた。白井は撃たれると思った。もう反応も無い木田の体に腰を振る。さっきまで絞めていた女性器も緩む。白井も恐怖でなかなか絶頂に達しない。やがて、木田の体から体温が失われていく。そして、膀胱に溜まっていた小水が流れ出す。
「早く、イケよ」
少年は関係ない男子生徒の腹を撃った。突然の事に少年は腹を抑えながら蹲るしか出来ない。
「早くイカ無いと、関係無い奴等が死ぬぞ?」
白井は必死になって腰を振る。だが、それでも絶頂に達しないどころか、誇張していた彼の男性器が萎びようとしていた。
「お前、萎びているんじゃないか?ちょっと抜いてみろよ」
白井は恐る恐る男性器を抜いた。血と小水で汚れた男性器が露わになる。確かにそれは萎びていた。白井をその場に立たせる。
「藤原、お前、元気にさせてやれよ」
藤原は泉田の最後の友達だ。泉田、木田、藤原が仲良しグループで少年を馬鹿にしていた。藤原は怯えた目で少年を見ているだけだった。
「どうした。早く白井を元気にしてやれよ」
銃口が向けられる。
「ど、どうしたら良いか」
「お前等、ヤリマンっぽかったけど、誰一人、セックスした事無いのかよ?」
「そ・・・そうじゃないけど」
藤原は処女じゃない。だが、経験は一人で、それも極普通のセックスしか経験していない。男の性器を元気にさせる方法なんて知るはずも無かった。
「口と手で、そいつのイチモツを舐めたり擦ったりするんだよ。早くしろ」
少年に言われて藤原は白井の男性器に触れる。汚れ切った男精器を舐めるというのはさすがに出来ないらしい。彼女は何度も吐きそうになる。何度目かの躊躇いのあと、少年は白井の股間に顔を向けている藤原の尻に発砲した。銃弾は尻肉を抉り取り、木製タイルの床に埋没した。あまりの激痛に藤原が悲鳴を上げながら転がる。
「てめぇ、何をチョロチョロしてるんだ?しっかりフェラチオしろよ。白井も教えてやれ。時間稼ぎみたいなことをするな。殺すぞ?」
藤原は痛みを堪えつつ、白井の男性器を咥えた。そして白井は藤原にどうして欲しいかを伝える。
「そのまま、前後に顔を動かして、吸うんだ。吸って」
白井の言葉に合わせて藤原が動く。
チョバチュバと唾液が絡み付く音だけが教室に響く。
対策本部では生徒所有のスマホがどれも繋がらない事に苛立っていた。
「やはり・・・突撃しか無いのでは?」
そこにはSATの隊長も居た。捜査一課長は暗い顔をする。捜査一課としては何も出来なかったに等しいからだ。
「わかった。SITで突入準備を始めてくれ」
「SITだけでよろしいですか?」
SATの隊長がそう尋ねた。
「相手は一人。それも画像からして、同じ中学生だ。ならば、生きて逮捕するのが最良だと考えている。SITだけで充分だ」
これは捜査一課のプライドだったのかも知れない。
セミオートオンリーのMP5を携えた特殊部隊の隊員達が防弾盾を構えて校舎内に入っていく。
「さて・・・そろそろ、警察が入ってくる頃だな」
少年は警察の動きを察したかのように動き始める。
「お前等、窓側に立て、そっちのお前等は廊下側な」
生徒達を教室の両側に整列させた。真ん中に残るのは白井と藤原と丸井だけだ。その様子は対策本部のモニターでも確認された。
「人質を教室の両側に整列させたぞ?」
「犯人がこちらの動きに感付いたんじゃ?」
「これだと突入時に発砲されて、死傷者が出るかも知れません」
「犯人が鞄を教室の真ん中に置きました」
「まさか、あの中に爆弾でも入っているのか?」
対策本部は混乱した。
「おい・・・藤原。もうイイわ。白井を殺せよ」
少年は白井に銃口を向けたまま、もう一丁の拳銃を藤原の近くに滑らせる。
「おい、マジかよ!ふざけるなよ!」
「だったら、殺し合えよ。生き残った方を逃がしてやるよ」
少年の言葉に二人は必死に銃を奪おうとする。白井が藤原を思いっきり殴った。顔面を殴られた藤原は床を転がる。そして白井が拳銃を奪った。その銃口を藤原に向ける。藤原は泣き叫ぶ。だが、白井は銃口を藤原から少年に向けた。
「バカか。銃さえ手に入れば俺の勝ちだ」
彼はそう怒鳴りながら、引金を引いた。
「お前・・・バカだろ?」
少年は笑った。それもそのはず、白井の持っている銃には弾が入っていない。
「僕が簡単に弾の入った銃を渡すわけないじゃないか?あ~あ、少しは僕に従うのかと思ったけど、興醒めだな。死んでよ」
白井の胸に二発の弾丸が撃ち込まれた。それは肺を貫通して、白井の呼吸を苦しくする。だが、すぐには死なない。肺に血が溜まっていく。彼は口から血を吐いた。床に広がる血溜まり。白井は苦しみながら自分の血で溺れ死ぬだろう。
「藤原・・・お前はどうする?」
敢えて、聞いてみた。一方的に殺されるより、選択肢を与えらえる方が恐怖だろう。
「た、助けて。お願い。必要だったら他の奴を幾らでも殺すから。ねぇ、先生を殺そうか?あんたのことを見て見ぬ振りしていた奴だよ?」
藤原は少年に媚びた。自分の命の為に他人の命を奪う事が出来るのか。少年は少し面白そうだと思った。
「じゃあ、藤原。あいつ、殺してくれよ」
あいつとは窓際に立っている一人の女子生徒だ。彼女はこのクラスの委員長でもある。彼女は怯えていた。少しでも振り向けば殺されるかもしれない。だが、藤原に言った「あいつ」とは誰のコトなのか。誰もが自分じゃないかと不安だった。そして、その不安は現実になった。突然、彼女は後ろから藤原に羽交い絞めにされる。腕が首に食い込む。声にならない悲鳴を上げながら委員長は藤原と共に倒れる。背中から倒れたために藤原がモロに床に叩きつけられる形になり、あまりの痛さとさっき尻を撃たれたダメージから羽交い絞めを解いてしまった。委員長はズレた眼鏡など気にせず、藤原に襲い掛かる。
「てめぇ、委員長!なにしやがる」
「黙れ!この不良が。あんたなんかに殺されたくないわよ!なんで、なんで、私がぁ」
委員長は藤原の首を絞めた。強く。強く。それを引き離そうと委員長の手を掴んだ藤原の手はやがて痙攣して離れた。
「ううっぅ、こんなの無いよう。なんで私がこんな目に遭うの?なんで・・・」
委員長は泣きながら首を絞めた。もう藤原は目を剥いて息をしていない。
「委員長、さすがだ。完璧な殺人だよ。君は今、人間を一人殺したんだ」
少年にそう言われて、委員長は藤原の首から手を離す。藤原の身体はダラリと力無く、床に横たわる。彼女は自分の両手を見た。目の前には動かない女子生徒。
殺した。
自分は人を殺した。
首を絞めた感覚が今頃になって、わかる。酷く汚らわしい手に思えた。
「委員長、君は逃がしてあげる」
その言葉に教室中の空気が変わる。委員長への妬ましさのような物が膨れ上がった瞬間だ。だが、当の委員長はそれに気付かない。純粋に喜んだ。屑のような女子生徒を殺して自分が助かるのだ。それは当たり前なのだと思った。
委員長はバリケードの一部を外して、扉を開けて教室の外へと出た。そして再びバリケードは少年によって、閉じられた。
委員長は階段の近くに居た警察官が確保して、すぐに毛布で包まれた。
「人質一人が解放されました!」
対策本部は全ての事態を確認していた。人質同士が殺し合いをさせられている。異常な光景だ。すでに最初に開放された二人の女子生徒から事情は聴いた。犯人の男子生徒はイジメを受けていた。そして担任の教師はそれを敢えて看過し、イジメは恒常化していた。教室内でイジメを止めようとする空気は無く。そして、ここに至ったそうだ。
「欠席中の男子生徒の家に事情を窺った捜査員が中で家族全員の死体を確認したそうです」
新たな展開だった。死体は全員、射殺されていた。近所の証言では昨晩、6時から7時に掛けて、花火のような音がしたそうだ。誰もそれが銃声だとは思わなかったらしい。世間とはそんなもんなのかも知れない。
捜査一課長はその家族を殺したのは籠城犯だと確信している。ただ、なぜ、別に殺す必要があったのか。そこに悩んだ。情報では殺された同級生もイジメの加害者らしいが、家族まで含めて殺す必要があったのか。
警察がそんな所で躓いている間にも少年は鞄から注射器を取り出した。そして、液体の入った小瓶を出す。そこに注射器の針を挿しこんで、液体を吸い上げる。
「な、なに?」
その様子を見ていた丸井は怯える。明らかにまともな薬では無いと感じたからだ。
「これは・・・気持ちよくなる薬らしい。叔父さんがよく使って、とっても気持ちのイイ顔をしていたよ」
少年は注射器を持って、丸井に近付く。
「や、止めて」
「嫌だね」
丸井は抵抗した。だが、その両足に弾丸を撃ち込む。丸井は大人しくなった。右腕を踏み付け、そして、注射器の針をその腕に刺した。ゆっくりと薬剤を注入していく。そして全てを注入し終えてから注射器の針を抜いた。丸井ははぁはぁと荒い呼吸をする。やがて、激しい嘔吐をした。吐しゃ物で床が汚れる。
「き、気持ち悪い。気持ち悪い」
丸井は吐きながらその場で転がる。麻薬は必ずしも快楽を与えるとは限らない。投与前の精神状態や体質によっては逆に働く場合もある。丸井は酷い気持ち悪さなどが身体に襲い掛かる。頭はトランス状態となり、まるでわけのわからない拷問に掛けられた苦しさだけが支配する。泡を吹きながら丸井は暴れた。
「ははは。なるほど。薬物ってのもおもしろな」
少年はそんな丸井の姿を見て、笑った。
その様子を見ていた対策本部はもう限界だと感じていた。
「薬物だな?奴は薬物で何をするつもりだ?」
「薬物中毒にでもするつもりですかね?」
「そんなん、一回ぐらいじゃ大した事が無いぞ?」
「だけど、これまでの行動も鬼畜が如くですし、並の理解じゃダメですよ」
捜査一課長は部下に言われてやるせない気分になる。
「被害が出るかもしれませんが、突入した方が良いと思います」
部下が具申した。
「犯人を逮捕出来るか?」
「犯人逮捕より、人質、救出を優先させた方が」
「あの鞄の中身が爆発物じゃないという確証が欲しいな」
「この状態では無理です。一か八かやるしか」
「本庁に指示を仰ぐ」
警視庁はでは総監以下、幹部が対策の為に集まっていた。
「刑事部ではもう無理だな。ここはうちにやらせろ」
警備部の部長がそう切り出す。
「相手は一人だ。テロリストじゃない。刑事部だけで充分だ。制圧して、事件の真相を明らかにする必要がある」
刑事部の部長が声を荒げる。
「そんなことより、今は、人質の解放が最優先だ。まだ20人以上の人質が残っているのだぞ?」
会議はすぐに突撃へと決まった。その決定は現場に伝えらる。捜査一課長は「くそっ」と声を荒げ、折り畳み椅子を蹴り飛ばす。そして、SATの隊長が対策本部に入って来た。
「それでは指揮権をいただきます。これからは我々が現場を仕切りますので」
SITの隊員が後退させられ、代わりにSATの隊員が配置に着いた。現場の教室を窓側から見る事が出来る体育館の屋上には狙撃チームが配置に着いた。
「くそ。高さが足りない。それにカーテンが邪魔でまるで見えない」
狙撃チームの観測手はあまりに不利な状況に苛立つ。
「窓からの狙撃は無理か。では廊下側から一気に攻め込むしかないが、机などでバリケードが積んである。まずは屋上からラぺリングして、窓から突入。犯人を射殺も含めた制圧で終わらせる。勝負は一瞬だ。空いている教室を使って、何度か練習をさせろ。あと、今はスマホでテレビやネットが見られる時代だ。犯人に作戦がバレるとまずい。マスコミには報道規制をお願いしろ。あとネット事業者などにはこのニュースに関する記事の一時的な規制もだ」
SATは何度も窓からの突入を空き教室で行った。実際は窓を破っての突入になる。窓にはカーテンがしてあるから、破片の飛び散りは最小限に抑えられるはずだ。突入後、立っている人質の間をすり抜け、犯人を確保する。犯人が射撃の姿勢など、攻撃の意思を示す行動をとれば、すぐに射殺も含めた発砲。ラぺリングで降下する隊員はH&K社製USP大型自動拳銃にフラッシュライトが装着された物を使う。
隊員の誰もが緊張している。防弾チョッキや防弾ヘルメットを装着していると言っても完璧じゃない。当たりどころが悪ければ、死ぬかもしれない。それでもこの作戦しか方法が無いとすれば、隊員達はやるしか無かった。
降下用のザイルを支える滑車が屋上の手摺に装着される。ザイルの端は万が一の落下に備えて、端を反対方向の手摺に固定し、長さは数人の隊員が引っ張って、調整する。吊るされた状態の降下隊員は降下して窓に飛び込むだけだ。割ってから入るという従来の方法ではその間に敵の反撃、または人質への危害が加わる恐れがあるので、窓を破りながらの突入だ。これはガラス片が隊員を傷付ける可能性があるために危険だが、これしか無い。
突入準備は着実に進む。そんなことなどお構いなしの少年は薬で昏倒とする丸井を蹴り上げた。意識を微かに取り戻す丸井。だが、薬の効果がしっかりと残っているせいで、まだ、目の前の景色すら歪む有様だ。
「な、なんらへ・・・へだ○✕△」
舌も回らない有様だ。
「丸井先生、あなたには何度か、イジメを訴えたのですが、何もしてくれませんでしたね?僕はとても絶望的でしたよ」
少年の言葉など、彼女には聞こえていないだろう。少年は女の股に拳銃の銃身を挿しこむ。MkⅠのテーパーの掛かった細みの銃身はスルリと女性器の中へと入っていく。やがて、それは子宮へと到達した。丸井はピクリと身体を振るわせる。
「先生・・・そんなに期待しているんですか?」
少年の言葉に丸井は軽く頷いた。
銃声は膣の中で広がり、そこで終わった。バズンという低い音だけが教室に響く。丸井は痛みを感じているのかどうかさえ、わからない。何か恍惚な表情だった。そして、何発も撃った。弾丸は子宮を貫通していく。貫通した弾丸は内蔵を破壊した。
少年が拳銃を膣から抜いた時、丸井は恍惚の表情で死んでいた。
「突入」
弾丸が尽きたと感じた隊長はその狂気な映像を見ながらも冷静に突入を命じた。屋上から降下する隊員達。三人の隊員が一斉に降下して窓ガラスを割って、突入した。邪魔なカーテンを払いのける。裸の人質たちが何が起きたのかわからずに騒然とする。だが、隊員達はそれを無視して、犯人の少年に銃口を向ける。
一瞬だった。
閃光が隊員達の視界を奪う。そして、無数の鋼鉄の球が彼等の身体を穿つ。
隊長はその光景に驚いた。いや、恐怖した。隊員達が突入した瞬間、中央に置かれた鞄が爆発した。そして窓側に向かって無数の球が弾け飛んだのだ。その弾で窓際に立つ人質と隊員の身体がズタボロになった。まさに一瞬の出来事だった。
「ふぅ、叔父さんの部屋にあったクレイモアってのがあって助かったよ」
鞄から伸びるコードの先は少年の手にあった。彼はこうなる事を予見していた。そして、そのための備えもしていた。
「作戦失敗。作戦失敗。すぐに隊員を引き揚げろ」
ロープが引っ張られる。室内に突入したはずの隊員が引きずられる。だが、それは上手くいくはずが無かった。体は窓の袖壁で引っ掛かり、窓からは出ない。だが、隊員達はまだ、生きている。クレイモアの一撃では防弾チョッキや防弾ヘルメットは貫通出来ない。体中は痛むが、やれる。犯人を殺すしか無い。そう思って頭を上げた。
乾いた銃声が響く。少年の銃口は隊員の喉元を撃ち抜いた。彼等の顔までは防弾シールドで覆われているが、唯一、何も覆われていないのが首だ。22LR弾でも貫くことは可能だった。
教室の半分には人が倒れているというより、肉が転げているという表現が適切な状態となった。人質の数は半分に減る。だが、それでも10人は居る。残った人質の多くも発狂寸前だった。誰も正常では居られない。
血と排泄物の匂いが充満する教室。口の中に鉄の味が広がるような気がしたのを少年は思った。ここは地獄なのだろうか?少年は思った。死体が転がり、恐怖だけが残った場所。少年は両手に拳銃を持つ。最後の戦いだ。
「お前等、全員、窓際に立て」
「い、嫌だ。殺されたくない」
あまりの恐怖に拒否した男子生徒の顔面を銃把の底で殴った。前歯が折れて、彼は床に転がった。
「うるせぇ。ただ、殺すだけじゃなくて、散々、イジメてから殺そうか?」
その脅しに恐怖した彼等は全員が窓際に立った。
その様子を隊長は見ている。
「廊下側がガラ空きになった。何とか隙間を作って狙撃が出来ないか?」
廊下側から教室に迫った隊員達は何とか扉に隙間を作って中を覗こうとしていた。こうなれば逮捕じゃなかった。相手を射殺する。それしかなかった。
少年はふと、生徒達が脱いだ制服に目を止めた。そこにはスマホの灯りが見えた。取り出す。そこには登録されいない電話番号が着信になっていた。そこに掛ける。
「た、隊長・・・犯人から電話です」
隊長は躊躇した。これは警備部の仕事じゃない。刑事部の仕事だ。下手に電話を受けて、対応に失敗したら、人質と犯人の命を全て失うかもしれない。だが、この段階にきて、交渉をしないわけにはいかなかった。願わくは彼が投降する事である。
「交渉担当者に代わらせろ」
すぐに外で待機していた交渉担当者が電話口に出る。
「よう・・・あんたが警察の担当者か?」
電話口の声は若い。交渉担当者は犯人の少年である事を察した。
「あぁ、警視庁の増田だ」
彼は慎重に返事をするために少しゆっくりめに返事をする。
「増田さんね。あんた達が無理したおかげで人質が半分に減っちゃった。無理しなければ殺すことは無かったのに」
少年は笑っているように言う。
「そ、そうか、それはすまない。こちらも君の行動がわからなくてね」
「そうか・・・僕の責任か?」
少年は少しトーンを落としてそう尋ねる。交渉担当者は慌てて否定した。
「い、いや、無論、警察のミスだ。お詫びするよ。それで、何か言いたいこととかあるかね?」
「あぁ、校長先生に伝えたいことがある」
「校長先生か。何を伝えたいんだ?」
「五月蠅いなぁ。人質、一人殺すよ?」
少年が少し苛立った感じになったので、増田はすぐに謝る。
「す、すまない。すぐに校長先生を電話までお連れするよ。それまで時間が掛かるから、ちょっと話をしないか?」
増田はチャンスだと思った。ここでじっくり会話が出来れば、相手の気持ちを穏やかにする事が出来るかもしれない。向こうから会話を求めてくるということはまだ投降させるチャンスがあると睨んだ。
「なぁ、何か学校で不満でもあったのか?」
「なるほど、そう切り出したか。そうだな。イジメだイジメ。僕は中学校に入ってからずっとイジメにあってきた。その度に担任は解決しようとしやがらない。そもそも僕の保護者という奴が屑でね。もう、警察なら知っているかな?チンピラみたいな奴で、僕が竹槍で串刺しにしたんだ。それとも、まだ、発見が出来ていないかな?」
増田は周囲を見た。捜査一課長は知っているようだ。
「すまない。こちらにはまだ情報が」
「そうか・・・まぁ、チンピラが暴力団の武器庫番なんてやっていただけさ。そのせいで、余り周りに派手に動けないから、保険金等が欲しくて、僕の保護者になったけで、僕を虐待すれど、守ってくれたことは無かった。だから、殺してやったし、暴力団の武器庫だけあって、色々、面白い武器があったから、貰って来たわけだよ。さっきのクレイモアは凄かっただろう?暴力団があんなのをどうするつもりだったんだろうね?」
少年は笑っていた。増田はその笑い声に吐き気を感じた。
-異常だ。この世界は異常なんだ-
少年は笑いながらそう思った。不思議と心の底から出て来る笑い声。この狂気の世界を僕は楽しんでいた。この先、決して幸せなど無い。そうわかっているはずなのに。
「そ、そうか・・・だが、もう止めにしないか。君は十分に人を殺したと思う。もうイジメた奴も担任も殺しただろ?だったら、残った人だけでも無事に帰してくれないか?」
「残った奴?」
「あぁ、そうだ。彼等には何も罪は無いはずだ」
少年の目は立っている人質達を見た。
「こいつらに罪が無い?」
「だって、君に危害を加えていないだろ?」
「こいつらはイジメを知っていた。知っていたのに何もせずにいた。それが罪が無いとか言ってイイのかよ?」
少年は発狂したように叫ぶ。
「いや、そうとは言っていない。わかった。彼等にも罪は問う。だが、殺すほどじゃないと思うだ」
増田がそう言った瞬間、少年はスマホを床に叩き付けた。
「うるせぇ。うるせぇ。うるせぇ」
少年は両手を水平にした。
パン、パパン、パン、パン
二丁、合わせて20発の銃弾が9人の人質に命中していく。頭、背中などに弾が当たり、崩れ落ちていく人質達。泣き叫ぶ女子生徒の首筋も弾が貫通して、彼女は転がった。その場に居た全員が撃った時、二丁のMKⅠは弾切れにある。この銃にはボルトオープン機能が無いので引金を引いても撃てなくなれば弾切れだ。左手の拳銃を捨てた。そしてポケットから予備のマガジンを抜く。そしてマガジンラッチを押しながらマガジンを抜いて捨てる。予備のマガジンを挿しこんだ。
さぁ、これからは本当の戦争だ。少年はそう意気込んだ。
SATの隊長が「突入」と叫ぶ。撃たれた人質はまだ生きている可能性が高い。今しかチャンスが無い。廊下側に待機した隊員達は力の限り、扉を押した。そして再び、窓から新たな隊員達が突入した。
廊下側のバリケードが崩れる。押し倒された扉から飛び込んで来る隊員。そして窓のカーテンを引き裂きながら飛び込む隊員。少年は手にしたMkⅠを撃った。弾は隊員の防弾シールドを傷付ける。隊員達が手にした短機関銃や自動拳銃が唸る。9ミリパラベラム弾が発射される。弾丸は少年の腹を捉える。その細い小さな体はその衝撃で吹き飛ぶ。だが、少年はそれでも引金を引き続けた。弾がは隊員の防弾チョッキや腕などに当たる。突入してきた隊員達は皆が一様に撃った。無数の弾丸が少年の身体を貫く。
「確保ぉぉおおおお!」
その声と共に、隊員達は少年に圧し掛かる。
-あぁ、死ぬんだ-
少年が最後に見たのは隊員達の怒り狂った顔じゃない。幼い頃に見た。母親の顔だった。あの幸せだった頃にまた、戻れるんじゃないか。彼は最期にそう思った。
事件は実行犯が死亡した事で終わった。3-Aの担任教師と生徒33名は死亡。別の一人は前日に家族毎、殺されていた。そして実行犯の保護者も竹槍で刺殺されている所を捜査員が発見。また、捜査中だが、この学校の体育教師も射殺体で発見される。警察も3人が射殺され、2名が負傷した。マスコミはこの事件を派手に扱っている。イジメの末のクラス全員殺害。確かにマスコミ受けするネタだった。だが、実際はその凄惨な内容にとても公開が出来る内容じゃないのは確かだった。
身体に無数の銃弾を受けた実行犯の少年の遺体は検死に回された。検死を担当した解剖医はその顔を見て、彼が本当にこれだけの大量殺人をした犯人かと疑った。それほどに清々しい顔で彼は死んでいたからだ。
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