奇病が蔓延る。地獄蝶が舞う。すべては秩序の中へ還らなければ、ならない。

地球温暖化が進む地で、原因不明の奇病が蔓延します。
或る特定の女性だけを侵す病は、若くして老化を進ませて精神を狂わせます。
塾講師の青年・良弘は、恋人を奇病に奪われ、妹を奇病に侵されていました。
彼は、妹を死に追いやろうとする病と、どのように向き合うのでしょう。

「カンナサマ」と呼ばれる少年が淡く冷笑する。巡り巡る地獄蝶の輪廻。
冷たく重たく苦しく痛い。そんな運命に生まれた少年は、
そして、奇病に苛まれて若くして老いさらばえた少女は、
はたして、救われるのでしょうか。

還るところは守られた秩序正しき世界で、
不穏に舞っていた蝶も、少年少女たちも、
生死の境から、還るべき場所に導かれる。

壮大なストーリーを伝える精度の高い文章。
R15指定ですが、純文学的な美しい表現に感じられました。
物語と文章の妙を是非、味わってください。

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