そこで交わされた約束は時を越え幾重にも。それがヤクソクだったから――。

人が求めるのは秩序か無秩序か。
この世とあの世の境目が、救いと犠牲との間で揺れ動く。

ひとつの解放は新たな縛りと苦悩を呼び込み、信仰の深い側面を覗かせる。

蝶という形をしたそれを断ち切れるのか。
その人がその人であるための始まりの位置、そこへ立った若い2人の前途が、明るいものとなるように願わずにはいられない。


ただこのことはひとつの終わりであって、全ての終わりではないのだ。
切なく美しく静かな恐怖の世界はこれからも、この先もたぶん、きっと続いてゆく。

季節がめぐり、美しい蝶を見かけた時、あなたはきっとこの物語を思い出す。この蝶はいったい、どこから来たのかと。

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