『この面白さ、想定外ね』

『異世界でロボットをデザイン』
 これを見ただけで面白いとは思っていた。だが、この作品を読んでもらえれば、それは違うと言うことが分かっていただけると思う。
 そう、『超面白い』のだ。
 私はこの作品を読んで大量にカフェインを摂取したかのように興奮した。
 次のエピソードへの指が止まらなかった。
「とりあえず少し読んでみよう」
 この作品の一文を読み出したときは、まさにそれだけのつもりだったのだ。
 だが、それは無理だった。
 この作品はロボットが好きで、異世界転移ファンタジーが好きならば、途中で読むのを止めることを努力しなければならない、超面白い作品だったのである。
 劇中のキャラクターのセリフを引用させてもらうと、まさに「想定外ね」と言うところであった。

 さて、この作品はロボット小説であり異世界転移ものである。
 異世界転移ものと言うのは、このレビューを書いている私も、ここカクヨムに来て始めて挑戦した分野であるのだけれど、このジャンルはとても難しいと思っている。
 私も自分のそれを書き出す前に一つのことを散々考えた。
 それは異なる文化、土地、風習、空気。そして何よりも、望まずに自分が暮らしていた世界と全く異なる世界に突然来てしまった人間のことだった。
 そんな人間が、自分の居場所と言うものをどう納得付けて地面に足を付けられるのかと、それを考えてしまった。
 結局、私の場合はそれを現地の人との触れ合いや巻き込まれた戦争の中で、自分の在り方それ自体を見つけることを主人公の最初の目的として書こうと書き始めた。(実に初心者らしいと自分でも思う)
 だが、この作品はとてもユニークな性(さが)を主人公に与えることで、それを見事に理由付けとして書き出している。

 最初のページを読んでいただきたい。
 自分が誰なのか。
 自分は何が好きなのか。
 自分に何が出来るのか。
 この作品の主人公は自分と言うものをしっかりと持っていた。
 主人公は変態的にロボット、それも人が乗り込んで操縦するメカが大好きだったのである。(ついでに言うとゲームチャンプだ。世界一位である)
 そんな彼が落とされたのが、二足歩行で歩く魔法の産物、巨大なロボット「レムロイド」で溢れていると言う異世界。
 闘技場ではレムロイドが一騎打ちで戦う娯楽が開かれ、戦争ではレムロイドが戦術的意味を持つ兵器として扱われている、そんな世界だったのだ。
 しかも、そのレムロイドなのだけれど、これがまた変わっている。
 それは設計書でロボットをその場に召還すると言ったもので、その設計書に書かれたロボットの設計がレムロイドの性能をそのまま決定付けていると言うものだ。
 ロボットに関して深いこだわりを持っている主人公は、現実世界での様々なロボット作品に精通している人間、言うなれば人類の特定分野のエキスパートであり、それらの構造に詳しい彼は自由自在にこの設計書を書きこなすことが出来た。
 もちろん、彼がその異世界に持って来た自分の知識を、フルに活用&応用して、である。
 それが彼の個性であり、唯一無比の特徴であり、その世界での脅威であり、その世界での彼の在り方だった。
 これは、そんな彼を主人公にしたロボットへの愛に溢れた物語である。
 そして、そんな彼に自然と夢中になっていった魅力的なヒロイン達。
 彼が書き出した設計書。生み出されたレムロイド達がどんな活躍を見せるのか、今後もますます注目である。

※長く書きすぎたので要約
 超オススメの異世界ファンタジー+ロボ設計もの。
 めちゃ面白いのでみんな読んでみてね。ヒロインもみんなすごい可愛い。(と言うより、全体的にキャラがみんな良い)
 わたすのお気に入りは、怪盗・魔法少女です。フォーかわいいよ、フォー。

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