にじゅうらせん

ある晴れた日、顔に袋を被った女性がビルの屋上から飛び出した。飛んだはずの彼女の身体も万物同様に重力に従って勢いよく地面に吸い込まれた。彼女の身体は重力に従順でも、彼女の袋で覆われた顔はそれに従わなかった。そして彼女の顔と身体は青空の下、空中で分解した。
空から通勤時間のビジネス街に、彼女の亡骸と赤い雨が降った。それが始まりだとこの事件に関わった人間たちは考えた。しかし一連の事件はどうやら10年前から始まっているようだった。
そして悲劇は連鎖した。いろいろな人間の憎悪が産んだ悲劇が連鎖した。