隼が飛び砂塵舞う世界で。全てをなくした皇子は、彷徨いながら成長する。

かつて世界に災厄をもたらした恐るべき古代兵器『鉄女神(マルドゥーク)』。それを擁するアル・カマル皇国では、皇位継承争いが起きていた。第一皇子イダーフに対し、異母弟ルシュディアークを推す皇女イブティサーム。ところが、イブティサームは殺害され、ルシュディアークは「魔族」になって義姉を殺したという罪を着せられてしまう。
冤罪の訴えも虚しく処刑されることになったルシュディアークのもとに、イダーフの使者が訪れる。アル・カマルの鉄女神を狙う二大国の一方に、同盟を申し出よと言うのだ。国を追われた皇子は、故国を戦乱に陥れる陰謀に巻き込まれるーー。


西アジア(アラビア)風の世界で繰り広げられる物語です。
十代の皇子を巻き込む国家規模の陰謀に、家族間の葛藤。古代文明とロストテクノロジー、それらを護り伝える人工の存在と、伝説、血族などがからみあい、壮大な群像劇となっています。皇子の身分を喪い、魔族として扱われ、彷徨いながら成長していくルシュディアーク(ルーク)の行く末に、注目しています。竜、キープを運ぶ隼、ベドウィン、描かれる風俗も素敵です。
アラビア風の異世界ファンタジー、ロストテクノロジー、十代少年の成長譚、貴種流離譚がお好きな方に、お薦めします。

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