ゆいゆい

ある男が殺された。彼は死ぬ間際、自分の血液である文字を残していた。彼は死んでからも、亡霊となって成り行きを見守っていた。

「俺なぁ、学生連合で箱根駅伝優勝したいんよ」 ある日、有言実行男こと渡嘉敷遥輝はそう口にした。突拍子もない彼の思いつきは、佐久東高校最強世代の9人の未来を大きく狂わせることになっ…

わたし達は3年生のインターハイまで、ただの一度も負けることなく優勝し続けた。天才JKゴルファーの名を手にしたわたし達5人であったが、5人揃って異世界に飛ばされてしまった。帰還する…

上田勘助は60歳で定年退職退職を迎え、妻と2人長野県伊那市に移り住むことにした。平穏な暮らしに期待を膨らませていた勘助であったが、一夜明けて庭先に出ると、そこには何百体にもなる石…

目が覚めると、脱出不可能な密室に閉じ込められていた。部屋には、名前に色がつく人間ばかりがおり、同じ色の人間が4人集まると死んでしまうのだという。絶望的な状況の中、なぜか主人公の青…

「にゃーが2065年を代表する最強の将棋ソフトだにゃん！」　 　気がつくと、ボクの背後にはそれがいた。未来の最強将棋ソフト、その名もポニャンザ。名前だけ聞くと弱々しい印象しかない…

新人看護師小川翔馬は配属先の惨状に辟易していた。介護士が当たり前のように患者を蹴り、殴り、なじっているのが5階東病棟。周囲のスタッフも見て見ぬふりをしており、翔馬は憤りを隠せずに…

ポンコツ作家ゆいゆいは今、とあるしりとりアプリにハマっている。オンライン対戦式で、持ち時間2分の間に相手に言葉を返しまくるのだ。ある日、仕事終わりにしりとりをしようとアプリを起動…

魔王を討伐しようと奮闘する勇者への風当たりが近頃強い。SNSが普及し、勇者一行の横行が世間に晒されるようになってしまったのだ。ここ半年で勇者一行の支持率が43ポイントも低下し、信…

　東陵大学二次試験当日、合格祈願のお守りを手に柳井夢華は試験会場に入った。そこで圧倒的存在感を放っていたのが、受験番号931番である中年の男であった。

　俺の同期生、渡嘉敷遥輝は中肉中背で、草食系な見た目が人気の中学生。渡嘉敷は小さい頃から、一度言ったことは必ずやる、極端な有言実行男なのである。 　富士山の山頂を削る。わけのわか…

結婚して2ヶ月の山足環奈は夫悟から結婚式の話を持ち出されていた。「結婚式だけどさ、洋式と和式どっちがいいと思う。俺は和式がいいかなって思ってるんだけどどうかな？」　環奈は幸せを求…

私はネットの掲示板で毎日、アダルトビデオに出演している女性がAV女優なのか素人なのかを教える門番をこなしている。AVを見て28年、私に見分けられない作品などないのである。

　同じ部の同級生土橋は大のミステリー好き。そんな彼からミステリーの問題を出された。 「浴室に右腕を切断された死体があった。その死体は浴槽に浸かり、更に右上肢を炙られた形跡があった…

俺はチェーン店「らぁめん味の森」随一の常連客。いつものようにラーメンを頼み、そして食べ始めるとラーメンの中にゴキブリが混入していることに気づく。すぐさま店員に指摘しようとしたが俺…

　12月24日夜、子ども達の家をまわるのは皆さんご存知のサンタ。しかし、普通のサンタにはどうにも解決できないお願いが毎年存在し、それを託されるのが、数多いるサンタのなかで唯一、全…

　佐伯香織は超ド級の懸賞マニア。1日100件の懸賞に応募し、当選した商品の数は数えられぬほど。 　そんな彼女がネット上で見つけたのが「当選1名様500万円」。胡散臭いと思いつつも…

　仕事の合間、近くのレストランにてたまたまかつての同級生笹崎と再会。彼は昔から筋金入りのゲーマーで、今は「デキール」なるゲーム製作ソフトでヒット作を量産していた。そんな彼が完成さ…

休講時間暇だった大学生のぼくは、友人の黒川君を連れてキャンパス内にある座椅子で静かに時を過ごしていた。 ぼくの一番の趣味は何と言っても人間観察。せっかく時間もあるから人間観察をや…

「将棋界激震　香車が姿を消す」 　わが国では、日本将棋連盟が主体となって騎士の育成や普及、文化の継承を行ってきていることは周知の事実かと思います。しかし、駒の動かし方や二歩、打ち…