吉晴

さまざまな思惑が交錯するなかで、ただ一本だけ、赤い愛の糸がくっきりと浮かび上がるようでした。 タイトル「ソウル・ラバー・ソウル」の秀逸さをはじめ、巧妙な駆け引きと丁寧に張られた布石…続きを読む

古代ロマンの荒波のなか、政（まつりごと）や戦に人生を翻弄され、命を落とした人々がいます。 その運命の果てに、私たちが生きる現代があり、彼らの犠牲の上に国が築かれてきたのだと思うと、…続きを読む

過去の過ちに気づき、それを認め、懺悔する。 そのすべてが、想像以上に激しい痛み伴います。 この詩ではその懺悔の先の未来が語られ、本当の意味での「懺悔」を考えさせられます。 短い文…続きを読む

独特の文体が、記憶をなくした主人公が世界を少しずつ認識していく様子を巧みに描き出しています。 淡々とした語り口の中にも、家族の優しさやぬくもりが静かに滲み出ていて、じんわりと胸を打…続きを読む

淡々と交わされる会話のひと言ひと言が、すべて意味深で、張りつめた静けさの中に不穏さが漂います。 まるで深い闇の中に差し込むわずかな光のように、2人の心理がじわじわと浮かび上がってく…続きを読む

善吉とひな緒、若々しく繊細な2人。 まるで隣にいるかのような臨場感で描かれていて、胸を掴まれる思いでした。 情景描写は瑞々しさに溢れ、その中で浮かび上がる心の傷が、より鮮烈に心に響…続きを読む

緻密に構築された世界観に圧倒されました。 情報の密度が濃く、読むほどに物語の奥行きに引き込まれていきます。 知識の深さや広がりも随所に感じられ、読んでいて本当に刺激的でした。 知的…続きを読む

甘酸っぱい青春のきらめきと、ゾッとするようなオカルトの空気が絶妙に溶け合い、読後に余韻が残る素敵な作品でした。 オカルトが少し苦手な私でも、怖すぎず、楽しく読めました！ 普段このジ…続きを読む

情景の描写がとても美しく、まるで一枚一枚の絵画が連なって一本の映画になっていくような印象を受けました。 文字だけなのに、光も闇も映像としてくっきり浮かんできて、本当に素敵でした。 …続きを読む

海の存在が重要な鍵となるのですが、文章の勢いや透明感からも潮の香りがただようようで、強く引き込まれます。 どの登場人物も大変魅力的で、生き生きと温もりまでもが伝わってくるよう。 読…続きを読む

物語の中央に置かれた「死」。 でもこの物語自体は決して重苦しいわけではなく、登場人物たちの日常が描かれています。 そしてその中で不意に持ち上がる、謎。 知識と日常の織りなすミステリ…続きを読む

青い空、輝く海、白い砂浜。 静かで眩しく、穏やかな時の流れは、老人に夢を見させるには格好の場所だったに違いありません。 冷たい世界と隔絶された、老いた英雄の物語の結末は、希望に満ち…続きを読む

彼の存在こそが、勇者。 獣を倒した人よりも、きっと彼の方が強いのでしょう。 何よりも、心が。 己の無力を知り、絶望を知るからこそ、彼は世界を救えたのだと思います。 鮮やかな顛末、ぜ…続きを読む

ハードボイルドであるのに、登場人物の個性に思わずくすりと笑ってしまいます。
警察官の方の命を懸けた強い願いが、美しく優しい桜吹雪に鮮明に彩られ、心に響きました。

本を通して話が、感情が描かれていく様子が、読書好きにはたまらない作品です。 自分のできる範囲で、自分らしく助ける主人公がいじらしく、また自分の力量を超えられない己の無力を噛みしめる…続きを読む

ほのぼのしていて、くすっと笑ってしまう穏やかさと眩しさ、幼い日に置いてきたおひさまの香りが漂う作品でした。 それでいて、いろんな感情によって本当に伝えたい言葉が伝えられない、思春期…続きを読む