カクヨム3周年記念で開催された際の、KAC10伝説のお題『カタリorバーグさん』。
(特に、同じ世界観ですべてのお題を挑まれていた方なんかの)並み居る強豪たちを阿鼻叫喚のカクヨムワールドへと引きずり込んだ、あの伝説のお題を……こんなにも美しく、綺麗に、きちっとまとめてくるマスケッターさん。さすがですっ。
紹介文にもあるとおり、元航空冒険家のお話が展開されるのですが、そこでこのお題。
どんな形で、お題をこの元航空冒険家に当ててきたのか。
KAC歴戦の猛者から、KAC初心者の方まで、ぜひともこのきれいなKAC作品、お読みいただきたいっ!
誰かが、やらねばならなかった。誰もが思い付き、誰もが手を付け、そして思いついた誰かの中には、「モノ」にできる力の持ち主もいたはずだ。
だが、やり遂げたものはいない。
なにしろ彼女の名前には魔力がある。聞いただけで翼を、自由と可能性を感じる『魔法の名前』だ。だから誰もがしり込みした。関係ないよと目を背けた。だがここに――本当に書いてしまった書き手がいる。彼は(彼か彼女かは定かでないが、ともかくも)恐れを知らず、挑戦し、飛び立って、目的地まで一度も着陸しなかった。讃えられるべき偉業である。
偉大なる、バーンストーマーに、拍手を。
なお、その書き手は、現在進行形で、今も世界(カクヨム)を飛び続けているもよう(笑
(※ このレビューにはネタバレを含みます。注意してスクロールしてください)
『リンドバーグ』の名前に実在の当人を絡めるネタは誰もが考えるが、実際には上手くいかない……というかネタが思いつきません。
かくいう私もそれを試みて挫折した者の一人です。
しかしながら今作はよく纏まってます。純粋にそのことに驚きと、そして敬意を表します。
さらには物語としての起承転結もしっかりしていて、リンドバーグ本人を含めたバーグさんのキャラ作りもしっかりしています。
読了感も良く、4000字以内とは思えない物語の広がりや奥行きを感じさせてくれます。
個人的な要望としては今後もこの、過去の偉人に会いに行く系の話を読んでみたかったり。
本当にこの一話の短編だけで終わってしまうには惜しい一本です。