布原夏芽

竜也は30年ぶりに松山の町を歩いた。そして、昔よく通った店と同じ名前のスナック『宇和海』を見つけた。竜也は『宇和海』のドアを押した・・・

年号が大正へと変わったばかりの時代。 古道具屋『鬼灯』の店主である鬼無 太伽羅は、店の前に蹲っていた汚い子供を拾う。 『夢告げ』の前日譚

　主人公、森川はアニメーターの卵として、忙しいながらも充実した毎日を過ごしていた。 　彼がアニメーターを目指したのは、初恋の女の子の一言のお陰。 　そんなある日、初恋の花島さん…

貧しい家庭の「僕」は不器用ながらもガリ勉だけを頼みに一流高校、一流大学を夢見ていた。だがある朝、英国数理社のストライキにより、受験チャンスが奪われてしまった。どうする僕？

大学生・圭は、彼女の執着心に疲れていた。不満を言えずにいた圭だったが、二人の恋は急展開を迎えることになる。

階段を昇っている。何百、何千、何万階。延々と上方へと続く、十三段と踊り場。ただ、あなたを追い続けて。 追いかけ続けるためには、決して追いついてはいけない。京と「私」の間の距離は常…

精神科医の「私」は、ある日、奇妙な二人の少女の担当医になる。 よろしくお願いします！

長年放置されていた、壊れた自動販売機。 だけど偶然、まだ中にお金が入っている事を知った僕らは、自販機を叩いてお金を出した。 何度も何度も叩いて、蹴飛ばしもした。 あんな事になる…

「―――ねえ、私たちに言葉は必要？」 俺と彼女の関係。普通の幼馴染のはずだった。 猶予は五分。 その僅かな時間で俺は覚悟を決める。

クラスの女子達から陰湿ないじめを受け、心が折れかけた中学二年の少女、咲。 泣きながら走る学校の帰り道、思わずある言葉を漏らした咲は、背後から不意に声をかけられる。 振り向いた瞬間…

祐平君と草子さんの、いつもの日曜日の朝のひとコマ。

いつも、海に身を浸していた。

この物語は、私自身が実際に体験した事を元に書きました。多少の脚色はあるもの、このお話に書いたのは全て実話です。 うつ病を発症しながらも働いていたマサトの職場に、音信不通になって…

　とある大学の付属高校に通う高校三年生の伊達明憲（だて・あきのり）は、「江戸の六上水」をテーマにした卒業論文の現地調査のために、かつて神田上水があった関口台を訪れる。伊達が、螢の…

捜し人と間違えられた「私」は、相手の女性を放っておけず、こっそり後を付ける。待ち続けて捜す女と、ひたすら待つ男の武蔵野慕情。

夫と別れ、一人娘も嫁ぎ、武蔵野の地でたった一人暮らす女性は、日々の移ろいの中で昔見た一匹の蛍を思い出す。 変わらない暮らしをしているのに、どんどん変わってしまう周囲の環境。気がつ…