笑顔を忘れた君へ

作者 涼月

107

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★★★ Excellent!!!

 偶然出会った中学生の頃の初恋の相手、しかし、彼女に笑顔はありませんでした。

 アニメーターである主人公は、彼女が中学生当時好きだと言っていたアニメの登場人物を描いては、彼女に手渡すという行為を幾度となく繰り返していきます。

 10秒間。たった10秒、されど10秒。そこに、全てが詰まっているように思えました。

★★★ Excellent!!!

好きな女の子の、好きな男の子のキャラクター。
主人公は、そのキャラクターを何枚も描いた。描いて描いて、そして、好きな子に見せに行った。

それからアニメーションの仕事についた主人公は、偶然、彼女に出会う。
けれど彼女は、笑顔をなくしていた。
それを見た彼がとった行動はーー?



ヒロインの心の傷は、一切描かれてません。彼は彼女の心のうちには踏み込んでいません。

なのにこのお話は、とてもドラマチックです。

人は傷を暴き立てなくても、救われるのです。

★★★ Excellent!!!

登場人物の心情にきちんと向き合い、丁寧に描き切った良作です。
読ませていただいて、思春期の頃にいだいた夢や恋を思い出し、鮮やかな色を取り戻していくかのような心地よい読後感を味わいました。

人は時に笑い、時に泣き、さまざまな感情を表現します。
けれども、なかには生活に追われ、感情を豊かに表現することを忘れてしまう人もいるかもしれません。
そんな乾いた心に潤いを与えてくれる名短編だと思います。

今まさに思春期を生きる中高生にも、思春期を経験した大人たちにもお薦めできる作品でした。