森陰五十鈴

　ウィンテルは冬の魔女。冬を作り、管理するのが仕事。 　これはウィンテルが使い魔ビノと過ごす、ある冬の一幕。 　昔書いたものを、供養のために転載します。 ※「小説家になろう」…

　練習のために即興で書いた、一話完結の小話ばかり（の予定）。最近は140字が多いです。 　批評歓迎。 ※「Nolaノベル」、「Prologue」（一部分）にも掲載。 ※一部「即…

　ユイが越してきた村では、年に一度独自の神事があるという。主役となるのは、十〜十五歳の少年少女。彼らは弓や銃を携えて、夜の杜へと入り込む。 〈神狩〉と呼ばれるその神事。狙いは、そ…

　ルベット家のお嬢様キーラの最近のマイブームは、読書。娯楽小説とはいえ、活字に触れる様子をご両親は歓迎していたのだが。 　ある日、キーラは奥様の部屋に置かれているブックタワーに興…

　魔女のアリソンは立ち上がる。来たるハロウィンに向けて、お化けの仲間を集めようと。 　黒猫とヒヨコを引き連れて、アリソンはお化け探しの旅に出る。 　X（Twitter）で企画さ…

　板野かも様主催の「#匿名キャラお見合い企画」で執筆した作品を集めました。 　多種多様なキャラクターたちが織りなす、恋の一幕の短編集。 　一部作品は、企画提出版と完全版の両方を掲…

　収穫の前に、果樹園の林檎が落ちてしまった。 　農夫の嘆きを、ディミトリスはやりきれない思いで受け止める。 　せめて都に伝えようとするも、無駄に終わるのを感じていた。 　 　夢月…

　まだ少年の時分のこと。 　両親と三人で建売住宅に住んでいた〝僕〟は、使われている様子のない屋根裏部屋が気になっていた。 　ある日、両親が出掛けたとき。〝僕〟は閉ざされた屋根裏部…

　セラフィーナは魔女だった。かつては石を投げられ、疎まれたという魔女。だが、彼女は王子に乞われた。私と共にあってほしいと。 　そしてセラフィーナは、国を守護する魔女となった。戦場…

　百年前にこの国を救った聖魔女セラフィーナ。ヘクターは彼女に憧れていた。しかし自分がなれるのは、せいぜい宮廷魔道士くらい。だが、先輩であるユーフェミアはどうだろう？ 　ユーフェミ…

　ダリアは出先から帰ってきて、放心していた。夫が帰ってくるまで、部屋に明かりも付けないまま。 　食事を終えたダリアは、夫に今日あったことを話す。彼女は、今日母親に会ってきた。自分…

　デビュタントを迎えたマリーに、新しい靴が与えられた。それは、マリーが一人前と認められた証だった。 　しかし、初めての舞踏会で、マリーは大恥をかくことになる。足を踏まれ、得意なダ…

　兄が亡くなった。交通事故だった。 　燃やされて骨になり、名前も変えられた兄。残ったのは、左側がひしゃげた眼鏡だけだった。 　KAC20248参加作。お題は「眼鏡」 『頭上に回…

　人を手にかけたイリスの世界は、モノクロームだった。 　灰色の雨降る街を歩き、帰り着いたのは喫茶店。 　そこで彼女を出迎えたのは、グリーンブルーの眼を持つ優しい青年だった。 　…

　旅の途中に立ち寄った波打ち際で、アリィは海を睨みつけた。探しているのは、ペンギン。本物のペンギンが見たかった。けれど、この海には居なかった。 　見てどうするのか、と旅の仲間は問…

　猫に変身した母が邸を抜け出そうとしているのを見つけたヘリオス。彼女を問いただすと「お父さんには内緒にして！」と迫られる。 　見返りを求めて、母の外出に協力することにしたヘリオス…

　帝都の地下に広がる地下迷宮。そこに向かう電車の中で、刹那は少女と二人きりだった。 　彼女――美晴は、友人だった。彼女が抜け駆けして地下迷宮へと赴いた、あのときまでは。 　KA…

香鳴裕人様ご企画「同題異話SR」参加作品の作品集です。 第一期は1月～3月、第二期、第三期は4月～3月まで参加させていただきました。 一部作品を「小説家になろう」「Nolaノベ…

　神社に立ち寄った千景は辟易としていた。境内は紅葉を見に来た客でごった返していたからだ。 　参道から外れた場所にあるベンチに座り、溜め息を吐いた千景。そんな彼女に、権禰宜が近寄っ…

　ルベット家は海辺の景勝地に別荘を建てた。 　新しい建物の内見に訪れたキーラお嬢様は、可愛らしい邸宅に興奮する。 「私たちこれから夏が来るたびに、ここに来るのよ！」 　まだ家具の…

　お嬢様のためにお茶を淹れていたアリエッタの耳に、ある一言が飛び込んだ。 「お茶請けもお願いね」 　お茶が入るまでの三分、その間にアリエッタは、お嬢様の気分にあったお菓子を選ばな…

　夜の散歩をする千景は、泥地の中に足が埋まった女に出逢う。彼女が抱えているのは、赤ん坊。泥の中に引きずり込まれた彼女を、しかし千景は助けられなかった。彼女が徐々に埋まっていくのを…

　大学で文芸部に入っている〝私〟――鈴は、紅葉から生まれたという〝先輩〟のことを書く。 拙作『紅葉綴る』の続編です。 （https://kakuyomu.jp/works/16…

　三十五度の気温を越える夏のある日。立ち眩みを覚えた瞬間から、柑次の世界は変わっていた。　 　一人暮らしの部屋の中に現れた、もう一人の自分。彼は柑次に剣を突き付けて言った。「心ノ…

　クロメルは興奮を抑えきれなかった。目の前にただ一人立つ狼少年は、バトルロイヤルの優勝者。そしてクロメルの〝狩り〟の対象者だ。 　戦いに渇いたクロメルに、狼少年の死を乗せた爪が迫…

　大学の学園祭で出す文芸誌の原稿に悩む〝私〟は、図書館でパソコン画面に向き合っていた。とりあえず文章を連ねてみるが、話は一向に固まらない。悩む〝私〟の前に現れる〝先輩〟。そのヒト…

　母が死に、リオとアリィの兄妹は滅びた世界にたった二人だけ残された。今後の身の振り方に悩んでいたリオは、母の部屋で父から送られてきた手紙を見つけた。滅びた世界で、新天地を求めて旅…

　仕事で宇宙ステーションに行くことになった父についていくケイラは、シャトルの中にいた。手には携帯端末。友人に別れのメールを送る。シャトルは今、離陸のときを迎えようとしていた。 …

　夜中の散歩を堪能していた千景。そんな彼女の耳が、誰か泣き声を拾った。街灯の下には少女の姿。彼女はぬいぐるみを落としたのだという。 ※KAC20234『深夜の散歩で起きた出来事…

　ある日、刑事グラハムに下されたのは、オーパーツを取り締まる捜査官シェパードへの協力要請。なんでも、オーパーツ密売人殺害の容疑者がスラム街に逃げ込んだらしい。しぶしぶシェパードに…

　グラハムはオーパーツを取り締まる捜査官。今宵もいつも通りお仕事で不良どもから違法オーパーツを取り上げた――と思ったら、どうもそれはかつてに見ない〝特別〟なものだったらしく!?　…

　フリッツを乗せた列車が辿り着いたのは、見渡す限りの雪原だった。線路の脇には穴が掘られ、その淵には反乱軍の構成員たちが跪いている。 　――これから、処刑が始まろうとしていた。 　…

〈大崩落〉を迎えた東京は、異形であふれていた。そんな東京を抜けて東京タワーまで娘を送り届けてほしい、と傭兵のサカエは依頼を受ける。 　バイクに跨り、崩壊した夜の東京を行く二人。 …

　雨の日の通学路、千景は教会の前に佇む花嫁の霊と出会う。成り行きで彼女の死の経緯を聴くことになった千景。なんと彼女は式の当日に自死したのだという。 　呆れたその理由。そして、その…

　桜が盛る夜、楼閣の茶屋で酒を飲んでいた妖祓いの燈架は、興が乗じて相席していた少年に菓子を奢った。そのことを切っ掛けに、少年――颯季と奇妙な縁で結ばれる。彼が主とあおぐ麗人、都で…

　温かい朝食、大好きな珈琲、そして向かいには優しい旦那様。 　新婚の香蓮の目の前には、毎朝理想の光景が用意されている。 　だが、香蓮はそれを素直に享受することはできない。なぜなら…

　半年ぶりに恋人から澪の元へと届いた便りは、結婚式の招待状であった。もちろん澪とのではない。社交界の華と謳われる令嬢との結婚式だ。 　満月の明かりの下、絶望に打ちひしがれる彼女を…

　レイラ・グレイス子爵夫人。今宵公爵邸で行われた夜会で注目を浴びる美貌のヒロイン。 　結婚している身であるのにも関わらず、主役の公爵を独り占めにし、一部の紳士たちと親しげに話した…

天の墜落。それが今、世界が見舞われている危機。 天を支える塔の建設によりなんとか事なきを得ているが、ついには天使すら落下した。 宇宙に逃れる術もなく、ただ墜ちる空を見上げるだけの…

　グレアムには、同じ魔法師学校に通う婚約者がいる。真面目で成績優秀なグレアムに対し、婚約者ジュディスは授業を怠けがち。そんな彼女を授業が終わった後に捜しだし、説教するのが日常だっ…

　双子の姉を喪った友人の舞と、一緒に墓参りに来た明菜たち。 　憔悴しきった一年前と違ってすっかり元気を取り戻した舞に安堵を覚える一方で、素直に喜べない自分がいた。 　夏空の下で自…

　祭りに行こう。 　友人に誘われて、気合を入れて浴衣を着てきた梨沙だったが、まさかの友人は蒼色無地の地味な浴衣でやってきた。 　町一番といっても過言ではない美少女がいったい何故？…

　海賊アウレリオ・バルラガン一味と、その宿敵の海軍レイナルド・オルモス艦隊が繰り広げる海洋ロマン、作品集。 ○海賊に買われた令嬢の選択 　半年前に誘拐された令嬢が､ 海賊船で…

　アカシック・レコードと呼ばれるシステムにより管理されている街アカシャ。その街を脅かす害獣バグを除去する魔女の部隊に、新人が配属された。名前はリディア。鴉の名前を持つ少女。 　リ…

　何処か浮いたところのある女子高生、早苗あとり。 　地味で大人しめな学級委員長、榎本純。 　同じクラスであること以外に接点もなく、境遇も真逆な二人。 　でも、ただ一つ同じものがあ…

夕方のスーパーマーケットの駐車場。その一角にいた十数匹の犬猫たち。 行き場を失くしたその子達の中から、突然新しい家族がやってきた。 ※夢月七海様ご企画「同題異話・四月号」の参加…

　巷を騒がす、猟奇的な連続殺人事件。遺体から心臓が抜き取られているという恐ろしい事件には、一つ奇妙な噂があった。 　なんでも、ドッペルゲンガーに殺されたのだという。 　怪談めいた…

　自由奔放、豪放磊落。フィクションでわりと見るけれど、現実では意外と見ない人物である汐原志映浬。何故か彼女に気に入られた零時は、夏休み中であるにもかかわらず呼び出された。この暑い…

ゆあん様ご企画「筆致は物語を超えるか【葉桜の君に】」参加作品です。 （https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054895319694） …

中学を卒業した月島万結羅は、ある日おばあちゃんから入学祝のプレゼントを貰いました。 箱の中から出てきたのは、銀の靴。 あの、『オズの魔法使い』の銀の靴。 さらに明らかになっていく…