朝吹

「そう。犯人はもう、一人しかありえない。それは——。ぐぅ……」 「寝るなー！」 　昼休みの購買から、パンが消えた。 　いつも肝心なところで眠ってしまう名探偵つむぎと、その助手に…

私が温泉たまごに出会ったのは、小学生のころ、父に連れられて行った温泉地でだった。そのころには珍しい食べ物だった温泉たまごが、いまでは街中のスタンドそば屋でも食べられる。食べられる…

私の妻はパンダに似ている。 結婚前は、たしか人間だったと思うのだが。 パンダに似ているから私は、心の中でひそかに「パンダ嫁のP子」、あるいは単に「P子」と呼んでいる。もちろん口…

僕は何を書けばいいのでしょうか？

本年は5月のカクヨム登録以来、大変多くの方にお世話になりました。 よろしければ、来年も仲良くしてやって頂けると大変嬉しく思います。 感謝の気持ちを込めて。 どうか良いお年を！

　卵には膜がある。 　それは殻と身の境を守るもので、きっと卵でなくても誰しもが持っているに違いない。 　殻を割ったとしても、膜を割る必要まではないのだ。 　

両親を事故で亡くして春松家に預けられた真琴は、夜を怖がる潤一郎という男の子に寄り添い、互いに寂しさを紛らわせる。 潤一郎は真琴を慕うようになり、手伝いをする姿を見て花壇の手入れを…

ニューヨークのMoMa（近代美術館）の一室に、ゴッホの「星月夜」とルソーの「眠るジプシー女」が並んでいるのを見て、書いた短編。

ケスラー化の経緯やデブリの速度、通信時のラグをAIに聞いてます。 この情報、ほんとかしら？

東京郊外にある一軒家で老夫婦の死体が発見された。損傷は激しく、死体のあちこちに獣のものと思われる噛み痕が残されていた。部屋の神棚が崩れ落ちており、供え物も食い荒らされている状態だ…

謎の古代遺跡から発見されたという、奇妙な怪物像を手に入れた古物商。 彼の身に悲劇が忍び寄る。

幼い頃事故死した筈の「妹」……其の霊が幼馴染の「妹」に…… あまポチの方に掲載していた「妹」シリーズをまとめますた。

　土色の身体で皆から災いの子と呼ばれるミハ。 　彼女の心の中にはいつも言葉にできない思いがあった。

『お題フェス11』参加作品。 お題は〈未知〉。 このタイトルコールがしたかっただけ。 続くのか、続かないのか。 いちばん適応しやすい現代ファンタジー枠で参加。 『KAC202…

調香師の私はいつも新鮮な閃きを求めていた。 熱心に新しい香りを探求しているのは、私が競争の激しい業界で生き残るためでもある。 写真展のギャラリーで、私が知らない香りを持つ少女「…

愉快なワンダーランドで紡がれる、ある王様と家来たちの物語

　冬の散歩。薄着で震える僕は、雪国出身の妻に寒さのしのぎかたを教わる。それは遠い冬の日に、「先輩」に教わったことと同じだった——。 ※「鈴の音が消えたあと」のスピンオフ、後日譚…

クロノヒョウ様の自主企画…じゃなくて近況ノート企画 『恋だ愛だは品切れ中』 https://kakuyomu.jp/users/kurono-hyo/news/822139841…

休み時間、教室の隅は僕にとっての聖域《サンクチュアリ》だった。僕はそこで三島由紀夫先生の名著である『金閣寺』を開き、緻密で装飾的な文体に酔いしれる。僕のこの時間を何人たりとも邪魔…

古びた喫茶店で待ち合わせた二人の男。 元プロ野球選手だった男は、かつての過ちと思いを語る。 （注） 本作はメジャーリーグで実際に起きた事件（ブラックソックス事件）を モデルに…

【カクヨムコンテスト11短編】※本作の時代設定は特に設けていません。 年に一度、死者の記憶を再現したＡＩと再会できるシステム「メモリア・プロトコル」。リナは亡き恋人・ダイゴとの束…

師走――。師も走り回るほどに忙しい季節。 それはサンタも悪党も一緒だった。 仙崎とミクのコンビは依頼を遂行するためにクリスマス・パーティーが開催されているホテルへと乗り込む。 …

エルナリス王国の王女セシリアは、僻地アストリウスへ婚姻のために向かう前夜、幼なじみのアランに会いたい一心で、弟のエリウス王子に「数日だけの身代わり」を頼む。 女装し、ウィッグと化…

ああいやだ、ああいやだ、たまらない 　　　　　　　　　　　　　　　——三島由紀夫（「家族合せ」）

不条理でないもの、フィクションでないものには興味がないのですが、 せっかくなので職場でのことを書いてみようと思います。 なるべく、プライバシーに関係しない範囲で書きます。

昭和五十年代の、とある町。 高校一年生の「僕」は、毎朝バス停から病院の時計台を見上げる。 屋上で洗濯物を干す若い看護婦さんは、いつも空を見上げていた。 百人一首の歌とともに、その…

　１９７４年、オイルショックの時代。 （もうすぐ三者面談だけど、わたしの進路はもう決められてる。でも別の道を選ぶ理由もない。このまま両親の望む相手と結婚して、子どもを産んで生きる…

六年間想い続けた茜ちゃんが、 目の前でクラス一の人気者・栄口に告白され、あっさり恋人になった。 絶望した秋津燐帆は、田んぼ道で出会った謎の少年から “昨日をやり直す呪文”を授かる…

筆名以外の話が多めです。おヒマなときにどうぞ 虹乃ノランさんの自主企画 「あなたの筆名の由来を知りたい。」に寄せて

控えめなハルと賑やかなユキは、幼なじみの親友同士。 ところが高2の夏、二人で見に行った流星群がユキを女に変えてしまった。 変わらない友情と変わっていく距離感の狭間で、ハルは思い悩…

確かに俺はろくな生き方をしてこなかった。 でもよぉ、まさかツチノコに生まれ変わるなんてよぉ。

虹乃ノラン様の自主企画『あなたの筆名の由来を知りたい。』参加作品です。 https://kakuyomu.jp/user_events/822139840623406334 …

勉強だけが人生じゃない。高校の昼休み、ぼくは屋上で、イケメンのクライメイトと出会い、 おにぎりとパンを交換した。あの日から、ぼくの青春が始まった。青春BLラブコメ。

　あこがれの先輩にもてあそばれているだけだと気づいた瑠音（るね）。 　人気作家の母親にはこき使われ、そのつらさを親友の成美に相談しても冷たいことばしか返って来ない。 　だから、瑠…

子供の頃、いつも一緒だった“旧き友” 姿は思い出せないけれど、 かけがえのない思い出をともにつくった。 今年も、来年も、これからも 君に手向けられた沢山の花たちを、心に刻む。

陶器の町、岐阜県瀬田川市。 川沿いに新しい工房と洒落たショップが並ぶ中、ひとつだけ時代に取り残された古い店がぽつんと残る。 環奈が生まれ育った家だ。 藩御用達の看板だけが誇らしい…

青春群像劇『どうした阿久津』と『がんばれ吉岡』に新エピソード『どうする玲子』を加え、カクヨムコン仕立てにしました。

拙作『いまそれやるの』『いまはここにいない君へ』『おとのはなし』からの4編に書き下ろし1編を加えた、筆者の学生時代の思い出を中心に描く短編エッセイ集です。

拙作『いまはここにいない君へ』『おとのはなし』からの３編に書き下ろし３編を加えた、筆者の少年時代の思い出を中心に描く短編エッセイ集です。

12月1日正午、ついにあのコンテストが開幕する。 色々と悩んだ挙げ句、僕が投稿したのは……。

柴田　恭太朗さまの自主企画 『【三題噺 #123】「宣告」「戦」「気楽」』 https://kakuyomu.jp/user_events/822139840223056437 …

　私は、小学生の低学年のころ、星の世界に興味を持ち、天文学者になろうとあこがれていました。 　しかし、その後の人生で、ほんとうに天文学者になろうとしたことは一度もありませんでした…

カクヨム、アルファポリス、Talesの AI作品に対する方針をまとめました。 ※個人調べのため、誤りがあるかもしれません。

　私の本名は、逃げ場のない呪いのようなものだった。 　借金の督促、親の湿った溜息、かつての恋人が吐き捨てた「中身がない」という呪詛。 　それらすべては、私の名前を目掛けて飛んでく…

　中学二年生の『最上まなぶ』の同級生、『吉井かな』は冬休み明けに『山田かな』へと名前が変わっていた。 　『最上まなぶ』は彼女の新しい名前になれることが出来ない。 　山田…

小説投稿サイトでは、一種のコミュニティーが形成される。しかし、それへの参加は基本的に百害あって一利なしだ。 ※各サイトでマルチ投稿しています

雨ふる晩のことでした。 ざあざあと降りしきる音を聞きながら、誰もいない家の窓辺で、軒下にぶらさげた白い坊主たちを見ていました。 やがて、その一体が、ゆらり、と紙の体をゆらして。 …