概要
顔も知らず、声も聞けず……届けられる和歌だけが知る、二人の百日の恋物語
「百夜、この門前に文を届けられたなら――」
絶世の美女と噂され、平安京へ出てきた小町(小野小町)。
彼女の姿を一目見ようと男たちが群がる中、届いたのはもみじの枝に結ばれた茜色の文付枝だった。
差出人は『深草少将』――帝の寵愛厚き貴公子・良岑宗貞。
祖父であり「地獄の副官」と恐れられる参議・小野篁の威圧感に気押され、誰もが諦める中、彼だけは毎夜毎夜、美しい歌と手づから仕込んだ香を抱いて門前へ文を届け続ける。
顔を合わさず、声も知らぬまま、薄様の紙に込められた墨跡と薫物の香りを通じて重なり合っていく二人の魂。
しかし、約束の「百夜目」を迎えたその時、都を揺るがす出来事が二人を襲い――。
後世に「冷酷な美女に振られた失意の百日通い」として語り継がれる伝説の裏に隠された、あまりにも気高く、切
絶世の美女と噂され、平安京へ出てきた小町(小野小町)。
彼女の姿を一目見ようと男たちが群がる中、届いたのはもみじの枝に結ばれた茜色の文付枝だった。
差出人は『深草少将』――帝の寵愛厚き貴公子・良岑宗貞。
祖父であり「地獄の副官」と恐れられる参議・小野篁の威圧感に気押され、誰もが諦める中、彼だけは毎夜毎夜、美しい歌と手づから仕込んだ香を抱いて門前へ文を届け続ける。
顔を合わさず、声も知らぬまま、薄様の紙に込められた墨跡と薫物の香りを通じて重なり合っていく二人の魂。
しかし、約束の「百夜目」を迎えたその時、都を揺るがす出来事が二人を襲い――。
後世に「冷酷な美女に振られた失意の百日通い」として語り継がれる伝説の裏に隠された、あまりにも気高く、切