テレコテ湖沿いにある町のるーせー売りは、るーせーが焼けるまでの間、よくむかしばなしをするのでした。 むかしむかし。まだ空と山が鎖でつながってて、カジャンカジェンガが雲を布団に昼寝…

地上300メートルに浮かぶ巨大なフラットドローンの上。足元の電磁床に浮かぶマークは15番。マークの向こうに透けて見える都会の夜と、ひときわ明るくライトアップされた王立競馬場と、俺…

「あの人」になりたいと思った高性能六軸アーム、FCMQ205－W38のお話です。 定期メンテナンスに現れる「あの人」の動きには独特のリズムがあって、完ぺきなリズムで動く六軸アー…

ある朝カーテンを開けたら、見知らぬ女の子がベランダで掃除機を抱えてた。掃除機で「空の悪意」を吸い取るバイトと言うけれど、お給料が出てないってどういうこと？　使命感を胸に空を飛ぶ高…

終末を目前とした年末の帰省で、母はジップロックと大きなせんべいの缶を出してきた。 これにしまえと、そういうことらしい。 （第十一回本物川小説大賞参加作品） /////////…

弟が入院するとの知らせを受けて、兄はKindleの中身を整理した。 （第一回イトリ川短編小説賞　大賞受賞作品） （お題『たったひとつの望み』）

電気通信の経路と内容を自在に改ざんできる妖精に出会ってしまった、丸山。

長い黒髪を束ねた戦士たちと、花の玉座で待つ蘭の君の創世記。 （第一回神ひな川小説大賞参加作品） （お題: ハッピーエンド）

宇宙の片隅で起こった生存と死へ、私のSFバージンを捧ぐ。 (第二回こむら川小説大賞　謎のストクリス賞受賞作品） (テーマ: 擬態)

夢見る僕と不条理の姫君、あと鬼。

化け猫を妻とした男が「お二方（おふたかた）」へ語る思い出話。ここではない場所で語られた、魂の独白。 初めて聴いた声は「ぎゃ！」 初めて言われた言葉は「いたい」 初めての笑顔は「…

寝たきり生活を送る友人へ贈り物をする技術者を題材に、ちょっとした会話劇を書きました。

玄絹：げんけん。雷鼓の叔父。直毛、細毛。細身。色白。着流しとか着るタイプ。囲碁が強い。酒は味わって沢山飲むタイプ。虫は好きでも嫌いでもない。 雷鼓：らいこ。玄絹の甥っ子。縮れ毛…

映画デートで訪れた、ショッピングモールのシネコン。男子トイレの個室にチェリーピンクの髪をした女の子の生首がでた。そこから惨劇が始まり、恋人は無残にも殺されてしまう。助ける方法はた…

お祭りの準備でルルビッケの顔を茶色に塗っていたはずが、見知らぬ原っぱに立っていて、目の前にいる女の人は、顔の真ん中がおふだで隠れていた。 「これは『クワンシー』っていう、つまり…