工業用のロボットアームが、とあるメンテナンス作業員に対して抱いた感情と、その記録のお話。
とにかく気持ちの良いお話で、読み終えた瞬間本当にすっきりした気持ちになりました。
この結末の強さが本当に好き……。
人ならざるものが語り部の、SFのような童話のような恋のお話です。
いや実のところ、はっきり「恋のお話」と言ってしまうのはちょっと抵抗があるのですけれど……。
客観的に判ずるなら恋とか愛とか、およそ好意としか言いようのない感情に違いないそれを、しかし主人公たる『わたし』自身はそれらの言葉を使わずに語ってみせる、その語り口そのものが楽しかったので。
本来〝無〟であったはずの主人公に芽生えた欲求、「思いを寄せる対象と同じものになりたい」という願望のあり方に、とても共感させられた作品でした。