概要
わたしは軽量でコンパクトな、スベスカ社製の高性能六軸アームでした。
「あの人」になりたいと思った高性能六軸アーム、FCMQ205-W38のお話です。
定期メンテナンスに現れる「あの人」の動きには独特のリズムがあって、完ぺきなリズムで動く六軸アームは、そのリズムに興味を覚え、夜中に真似をするようになりました。
だけれどあの人は突然来なくなり、独り稼働を続けたアームは周りよりも早く摩耗して、故障交換となってしまいます。
その夜、あの人を思い出して独り最後の稼働をするアームでしたが、どうやら他にも動いている機械があるようでした。
LEDの示すコードで、アームは旅へ出ます。旅の最後で、アームは何を感じるのか。
高性能六軸アームの一生、お付き合いください。
定期メンテナンスに現れる「あの人」の動きには独特のリズムがあって、完ぺきなリズムで動く六軸アームは、そのリズムに興味を覚え、夜中に真似をするようになりました。
だけれどあの人は突然来なくなり、独り稼働を続けたアームは周りよりも早く摩耗して、故障交換となってしまいます。
その夜、あの人を思い出して独り最後の稼働をするアームでしたが、どうやら他にも動いている機械があるようでした。
LEDの示すコードで、アームは旅へ出ます。旅の最後で、アームは何を感じるのか。
高性能六軸アームの一生、お付き合いください。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!気になる「あの人」と同一化したい、という望み
工業用のロボットアームが、とあるメンテナンス作業員に対して抱いた感情と、その記録のお話。
とにかく気持ちの良いお話で、読み終えた瞬間本当にすっきりした気持ちになりました。
この結末の強さが本当に好き……。
人ならざるものが語り部の、SFのような童話のような恋のお話です。
いや実のところ、はっきり「恋のお話」と言ってしまうのはちょっと抵抗があるのですけれど……。
客観的に判ずるなら恋とか愛とか、およそ好意としか言いようのない感情に違いないそれを、しかし主人公たる『わたし』自身はそれらの言葉を使わずに語ってみせる、その語り口そのものが楽しかったので。
本来〝無〟であったはずの…続きを読む