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すげえよなあと思う瞬間


 私はプライドが高い。

 わざわざ言うまでもない。
 そんなことは投稿した自傷小説や、おすすめレビューの文章から見え隠れしているだろう。
 私は都合の良い点を光り輝かせ、悪い点を上手く隠す術を身に着けようとしている。そういう賢しい手を常日頃考えている。

 でも、そういうチャチな小細工は圧倒的な熱量の前には無力だったりする。
 今までに何回か目の当たりにして、その度に打ちひしがれてきたのだが、つい先日も目撃した。

 もちあんこ様の「なろう系はなぜ『流行る』のか」である。
 https://kakuyomu.jp/works/16818023212806244337


 見るからキャッチーで、波乱を巻き起こすようなタイトルなのだが、そこからにじみ出る熱量にひたすら圧された。
 どう言えばいいのだろう。
 語弊を覚悟で表現するなら……

 この勢いこそがアングラというか、インディーズというか、アマチュアだけが持っていて、自分が目指したかった領分なんじゃないのか?

 ということなのだ。

 この作品は40000文字を超えている。
 公的なデータがベタっと貼りついているわけではない。等身大の意見や推測がこれでもかと続いていくだけだった。
「あるある」があるわけでもない。時たま無償に「ざまあ」を食したくなる自分から見ても多分正しいと思ったけど、決めつけかもしれない意見だった。

 ただ、ただ、実際のところ、この作品には唸らせるエネルギーがあった。
 話の内容や正誤がはっきりしないが、語り手の口調や表情から思わず頷いてしまうことがあるのだが、その文章版といっていい。

 質を問わず、現代のコンテンツは大量に生成されて廃棄される運命にある。
 そんな中で

 お前は「XXこそ我が人生」と呼べるようなものがひとつでもあるか?

 ひとつのものに愛憎を、熱を込め続けられるか?
 相手にまったく理解されず、徹底的に批判され、笑われようとも、「確かにそうなんだけど、俺は好きなんだよ」と返せるだけのものを持っているか?

 そう、問われたような気がした。


 だから読み終えて「すげえよなあ」と思ったのだ。
 これが一作品目なんだもんなあと。

 流星のように現れて、膨大な熱量と巨大なクレーターを残していく。

 そういう人達がいる。

 小細工が意味をなさないし、敵わない。「なんでそこまでやれるんだよ」となる人達がいる。

 自分もそういうのを残したい欲求はあるのだが、10年くらいROMらないとダメかもしれない。

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