どうしようもなく苦しい中で自殺するか生きるかどっちを選ぶ?
と金持ちのお坊ちゃんみたいなガキ(敢えてこう言う、だって実写のドラコ・マルフォイを五頭身くらいにして太らせたような図体なんだもの)に寂しそうな声でそんなことを訊かれた。
こう答えた
それはその時の気分次第だ、
死しか選べない気分なら死ぬし、そうでなければ生きるだろうと。
その答えは彼も予想していたみたいで、ヒステリックに笑われた。
だから続けた。
どうか落ち着いて聞いてほしい。
よほどの滅多なことが起こらなければ僕は死を選ばない。それ以外の手段を山ほど考えているからだ。中にはずるい方法もあるし、人に迷惑をかけるかもしれない方法もある。
そうなったのは、金があるからでも、頭が良いからでも、心が強いからでもない。
ここまで生きてきたからだ。その間に手元に入ってきたんだ。それだけだ。
それが自由や可能性を捨ててまで凡庸な大人になっていく最大の利点だと、本気で思ってるんだ。
これから先も死にたくはなるだろうが、僕は生きると思う。
ガキはゴージャスなデカベッドでしばし考えたあと何かしゃべろうとしたみたいだが、
その間に恥ずかしくなって目が覚めた。
案の定虫食い状態だ。必死に復元してこんな趣旨だったと掘り返したのがこれだ。
まったく普通の夢ならいざ知らず、こんな顔を背けたくなる発言くらいはちゃんと記録に残してほしいものだ。