「【悲報】大作漫画の「XXX」、名言がひとつもない」という旨のスレッドがあった。
「作者だって名言を残すために描いたわけでもないだろうしな」とスルーしかけたのだが、どうやら昼飯に食べた唐揚げ弁当が予想以上に腹に溜まっていたらしい。
仕事を終えて帰宅する間、ずっと以下のことを考え込む羽目になった。
だったら名言の条件っていったい何なんだ。
名言というからには、少なくとも名言集に載るくらいには有名な作品、作者でなければならないだろう。
つまり、無名の自分がいくらこの世の真理に目覚め、神懸りに等しい言葉を連発しても、それは名言にはならないだろう。
知名度の次に大切なのは、印象・クセの強さか。
宣言にしろ、告白にしろ、説教にしろ、断末魔にしろ、インパクトが必要ということだ。
あとは説得力……カッコいいこと書きたい時などに自分もよくやらかすが、
作者の思想と作中の人物の思想とを混同すると、場面に全然そぐわない文章となって、非常に痛々しい思いをする羽目になる。
……これぐらいだろうか。
とはいえだ。
名言が多かったらいいのかって言うと、そうでもないのだろう。
名言が多い作品となると出てくるのが、漫画なら「ジョジョの奇妙な冒険」だったり、ラノベだったら「化物語シリーズ」だと個人的には思うのだが、
どちらとも、そもそもが独特なフォーマット(「台詞回し」が人気要因のひとつ)であるわけだし、割かしメッセージ性を強く押してもいる。
もっといえばある程度の長さを持った漫画や小説は、作中の積み重ねもあって、何気ない会話でも、ありがちな台詞でも、大体は重みを持っているものだ。
続けて読んでみないとその重みが分からないから「名言」とカウントしていないだけのようにも感じられる。
しかし、名言があるかないか、か。
名言集は確かに便利なもので、Webサイトや本を漁っていた頃もあった――何かを分かった気になれるからだ。
でも、今となっては名言集を諳んじているだけではつまらなくなってしまった。
代わりにたった一行の名言に至るための長いページを少しずつ読み進めている。