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意外と良い


 人生を豊かにする方法の一つとして、「意外と良い」を沢山見つけることが挙げられる。
 この「意外」が大切なのだ。良いもの自体ならたくさん転がっているし、評価の高いもの、お金がかかってるものを選べば大体良い。

 そうじゃない。それでは予想通りだ。それが良かったとしても、数ある「面白かった〜」の一つで終わりだ。

 期待はしてなかったのに、少なくとも自分にはフィットした、この感覚が大切なのだ。

 手軽に「意外と良い」を見つけたいなら、自分で工作(文字や絵というより、粘土とか段ボールなど、三次元的なもの)をしてみると分かりやすいかもしれない。
 商品を買うのではなく、空き箱やサランラップや、発泡スチロールと有り合わせの物を、ハサミや接着剤やテープで組み合わせる、廃材アートに近いことをする。

 例えばAmazonの大きめ段ボール箱は、本が沢山収納できる。
 ダンボール箱を立てて(取り出し口が正面に来るようにして)、本を置けるだけ置き、その上に更に仕切として幅を合わせたダンボール片を何層か敷く。
 その上に本を更に置けば、二段の即席本棚になる。

 こういったものを作る時のコツは、おそらく最低限の機能は何かを分析することだろう。
 本棚に求められているものは、本を多く収納しかつ、いつでも取り出せるようにすること、埃が被らないようにすること、大まか2点。
 それさえ満たせれば、材質が木であろうが、ダンボールだろうが、発泡スチロールだろうが、プラスチックだろうが、サイズが如何ほどであろうが関係ない。

 作成時間はおよそ20分。
 仕切を支えるために下段に本をある程度置く必要があるのと、上段に置く本のバランスを取る必要はあるが、それなりに機能はしている。

 ダンボールの質感は案外悪くない。
 別件ではあるが、サランラップのベールとしての役割も意外といける。


 この工作はおそらくランダム、気まぐれ、恣意的、一時的という言葉がふさわしい。
 まったく予想できない、というより予想をそもそもしないまま漕ぎつける。
 結果がゴミにならない保証などまったくない。が、そもそも保証を求めていたら意外にはたどり着けない。

 DIYは「Do It Yourself」の略だが、それは「自分自身でやる」という意味だけでなく、「自分自身をやる」ことにも繋がるのだろうなあと思われた。

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