桑野健人

答えは出ない。

左手を失い、憂鬱とした気持ちを抱いていた。 けれど、ふと病院のベッドから見たラーメン屋さんへ行きたいという欲求により心を救われる……。

ヒトデナシの話です。 ソレは人間になりたかった。 人間の夢を見ていた。 人間のなり方を知らなかった。 人間って何だろう？

ある女の、眼下には宙に輝くをそのまま写し出したような煌びやかな都会の夜景が広がっていた。 そこは、高層ビルの屋上。 虚しくも彼女の瞳には、そんな輝く星の光は無く、絶望の色によっ…

詩、または小説。短いので説明は割愛、作中の単語だけ並べておきます。気になるものが1つでもあれば、良ければ手にお取りください。 『金色』『図書館』『夜景』『ミルクティ』『ガラス窓』…

その町にも夏が訪れていた。 温暖な海の町で育つ浩二は、夏のはじまりにひとりの少女と出会う。 彼女の名前はミツキ。一つ年上の中学生ながら、小柄で気弱、自分のことを名前で呼び、幼さ…

「未来宇宙トラベル社」による宇宙飛行士選抜試験が行われた。その閉鎖環境試の後、ケンジは高熱に襲われる。意識がもうろうとする中、付添人ベータが現れ、二人は列車に乗り込んだ。地球原始…

「私と君以外、全員ゾンビなんだって知ってた？」 義理の姉の四季は、僕にそう言った。 世界の秘密を、僕だけにこっそり教えるように。 周りの誰もが、意思を持たないゾンビ。四季はそう…

大手消費財メーカーのマーケティング部のマネージャーの地位を実力で勝ち取ったゆりは、企画部の、無から有を生み出す才能のある夫を裏方として支えることで、人生を“修正”しようとする。だ…

火あぶりに処されたのち、乙姫（泉鏡花『海神別荘』より）に気に入られ海の国に迎え入れられた死後のお七（井原西鶴『好色五人女』より）。そこで思わぬ人物と再会を果たすが……。

　中学生の圭吾は、父親の再婚で新しい家族と生活を始めることになった。その直前、市民プールを訪れる。未だ折り合いのつかない自分の心に、何某かの落とし所を見つけるために、圭吾は人気の…

男は社会と自分の世界の違いに苦慮していた。だが、その悩みすら凡庸で、受診を機に一定の答えが出たことで安心してしまった。答えを与えられたことで、自他に無関心になってしまったのだ。そ…

僕は自分の顔を探す。 もう見当たらなくなってしまった。 見当たらないうちに、もうどこにあったかも忘れてしまった。僕は何者だ。 何を求めているのか。

※語彙力コンテストに参加してはいますが、どちらかというとお話寄りになってしまいました。どうかご容赦ください。

ロンドンで小さなお店を家がわりにして経営している心優しい成年だが顔が蛇に似て 細く長い目もギョロっとしていて 誰からも怖がられてしまう。 毎日鏡に向かってに練習してる 笑顔も不…

１９棟の家が流された１９７４年の多摩川水害。その近くに私の女子高はあった。ピアニストを母に持つ、外国から来日したばかりのエキセントリックな少女に振り回されながら、私は彼女に魅了さ…

眠れない男は人間の暮らしができない。長い夜に耐えかねてドラキュラになることにした。

二度と戻らないモノがある。 捨てた子供が亡くなった事実を知った時、女はどうするか？

余命幾ばくもない姉を持つ蛍と、ヤングケアラーゆえに学校になかなか登校しない達也。 たまたま互いの事情を知ったふたりは、なんとはなしに一緒にいることが増えていった。 これを恋とは…

山見静を守れなかった精神科医師狭川だが、患者は次々に彼の元に集まった。 今までで最も困難な自殺念慮患者に対峙する…

　夏が落ちて行く。太陽が落ちて行く様に。僕も落ちて行く。太陽が落ちて行く様に。 挑戦的な日本語　文法　インターネット小説の独自性　の追求だ！！！！！！！

三題噺 「電気」「メトロノーム」「恐怖の脇役」 過去作 ※この度天川様が開催されておりました、勝手に【天川賞】の天川のひとひら賞をいただきました。 https://kakuy…

図書館のパートスタッフをしている藍子は、不思議な青年との出会いがきっかけで、平凡な日常を少しずつ踏み外していく。 歪んだ夫婦関係や年老いた両親との関係に密かに悩む藍子が、失った…

꧁ 『刺鳥刺』v×s『金朱の鷺』の奇恋譚 ꧂ 江戸時代中期、享保四年(1719)。 八代将軍 : 徳川吉宗の享保の改革により、生類憐みの令で絶えていた『鷹狩り』が蘇った、…

生まれたものは、すべて「土」にかえってく。 僕が君を好きなのは、君がそう思わせてくれたから。 僕は最期も君を想うよ。 ――土になったら、君も土になるのを待っている

　桜舞い散る中学の入学式。ささいなことから「あなた」を好きになった「わたし」は、三年間の学生生活の中で、ずっと「あなた」を想い続けていた。だけど「あなた」は人気者で、「わたし」に…

　ある雪の日。街路を一人歩く「私」は、頭上から舞い散る雪を見て過去に思いを馳せる。失われてしまった日々を前に「私」は感傷を抱くが、そこである真実に思い当たる。 ※短めの純文学を…

KAC2021参加作品。 吹奏楽コンクール地区大会まであと一週間。 中学から楽器を始めた女子生徒の悲喜交々。

「乱筆をお許し下さい。 幼い頃から数年、自宅の裏にあった書道教室に通い、段位まで頂いたというのにわたしの字はとても乱れています。」

久しぶりに再会する幼馴染に言われたのは「根岸のドラゴンを見に行こう」それだけだった。浪人を決意した主人公の「わたし」は、友人とともに近くの公園へ訪れる。そこは今から百年前、横浜の…

未だ言にあらず――それは、未だ言葉としてなかった物事に宛がわれた言葉の未《いま》だ。 それを『未言』という概念で産み出していったのが、未言屋店主です。 その未言屋店主の思い描い…

　火の輪をくぐるライオンのように、強く勇敢であれたらーー。 　アヴリルは、どこにでもいる普通の女の子だった。少し違うところがあるとしたら、ボーイフレンドが絶えないこと。好きでも…

柴田と圭子は４０台での結婚。子供がいない夫婦だが、柴田が単身赴任そして浮気・・・。

大学の教員である風間賢人は十年前に卒業した教え子の雲井瞭子に呼び出された。彼女は〈雨恐怖症〉＝オンブロフォビア（ombrophobia）なのだと訴えた――。

　初老の男が訪れたのは、見知らぬ駅。 　上りに乗るのか、下りに乗るのかは分からない。ただ、分かっていることは死を待つということ。生き方を回想し自問する男の、最期の答えを見つける物…

『走れメロス』（太宰治）のその後のお話。 太宰についてもメロスについても何も分かっていない当時書いたので、文字打ちしながら解釈違い起こしてます。

春の終わり、夏の始まり。 貧しいイシャナは首都で開かれる王の妻探しに妹のハルシャをと考えていた。 妹に高価な美しい着物を用意し、礼儀作法を叩き込むイシャナ。 そうまでして必死にな…

友人・紺野の葬式のために大阪を訪れた誠一。十年ぶりに再会したいとこ・あやめと共に、彼は紺野からの遺言を開くが……。 ―――――― 【備考】 行間をあまりとっていないのは意…

昨今の話題「ChatGPTのような生成AIは、創作の是か非か」をテーマに、近未来の舞台に置き換えて記述しました。

ひさびさにかきました、がんばりました、あい、テーマ「雨」

病弱な令嬢の「貴女」にお仕えする「私」。夏、別荘地で、二人で遠くに打ち上がる花火を見つめながら、花火には無数の色があると「私」は思う。そして、「貴女」の中に秘められた、「表情」と…

※初のクリスマス記念投稿百合作品。 クリスマスの夜、厳かな音色のコンサートが開かれている教会の礼拝堂の外で、「私」は、愛する女性-「聖母」を待っている。 前世-禁教令で、信じる神…

突然の夕立に見舞われた夏祭り。 妹を探して彷徨う僕は突如、異空間へと誘われてしまう。 はたしてそこで僕が出会ったものとは。

肌寒い朝に訪れた別れの気配。 それでも私は2人で築いてきた瞬間を、どれも忘れたくないと願い続けていた。 別サイトお題企画「赤」 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体…

　自称人間嫌いのAさんに話を聞いてみました。 　凄く深い話が聞けました。

書きっぱなし寄せ集めの短編集です。ガラクタの山で素敵な宝物に出会うように、あなたにとってのお気に入りの一作が見つかれば嬉しいです。

第13回空色杯応募作品

カクヨム文芸部猫の日企画参加作品 人生の終焉。 行きついた先には、毛玉がいた。