「翻案 今昔物語集」を含む小説

裳付姿の僧侶とは仮の姿、唐国渡りの不老不死の仙人道登は、恵満という男に請われて八幡の地を訪れていた。水害で流された八幡と山崎を結ぶ大橋の普請にて、人足の男が次々と行方知れずになる…

花白縁は、現実主義者である。この世には、怪奇現象らしきことはあっても、怪奇現象そのものはない。不思議も奇跡も神秘もない。この世にそんなものがあると思って生きれば、無駄な苦労するこ…

讃岐国鵜足郡に住む少女・布敷刀自売（ぬのしきのとじめ）は、山田郡に住む同名の従姉妹に物心ついた頃からひどいいじめを受けていた。 両親をはじめ大人たちに必死で訴えるも、ある者は事な…

　落蹲の面に似た顔をした男は一時都で財を築いたが、騙されて盗みの片棒を担いで前科者となり、世を忍んで暮らしていくことになってしまった。彼は屋敷に残したひとり娘の成長を陰ながら見守…

歌人・在原業平の末裔である在原元貞（ありわらのもとさだ）は、長く赤貧洗うがごとき暮らしを続けている貧乏貴族であった。 両親を亡くし職も失い、さらには下世話で無遠慮な近所の眸に耐え…

「鳳至ノ孫」という名で呼ばれたとある長者の物語。その家の繁栄には、霊験あらたかな「帯」の力がはたらいていた。俗世の力学から外れたかのようなその果報は、やがて強欲な国守の目にとまる…