「掌編とか」を含む小説

40度の8月、僕たちは約束の海へ来た。 ビーチパラソルを立て、二人きりで眺める海。けれど、聞こえるはずの喧騒も、寄せては返す波音さえも、どこにもない。まるで時が止まったかのように…

読切りの掌編からショートショートくらいの小説です。

「え、うどんにもやし入れないの？」 幸子のこの驚きは私にとって大きな衝撃だった。いや、もやしは普通、うどんに入れんだろう。 とはいえ「もやしうどんのさっちゃん」などと馬鹿にして…

高架の裏側にいるお化けの話。

廃村の探索行を動画にしたら見られない。漫画にしても読めない。じゃあ文章なら？　三度目の正直だ。

　町田浩介の悩みは嫁の顔がタイプではないという事だった。 「失敗したなぁ」 　酒の席でそう呟きながら、町田は店の隅々を見る。若く美しい女を寸評し、自己憐憫の純度を高めているの…

ホノカがSNSに上げていた楽曲をきっかけに届く、ユウからのダイレクト・メッセージ。主に楽曲の話を二人は遣り取りするようになる。 ホノカが大学を卒業して社会人になった頃、ホノカは…

暗闇に長く留まっている主人公。この世界では空腹、眠気、性欲などを一切感じない。暑さ寒さも感じず、ただ無音。……光だってない。ただずっと、終わりを待つのみだった。 そんな世界にいる…

概念的な「花」をモチーフにした散文詩風の生活に根差した作品です。不思議系。作者の私にも詳しいことはよくわかっておりません。すみません。

現代社会を生きる兄と妹の会話。

「こんな時間にどこに行くのじゃ？」 真夜中にアイスを買いに出かけようとしたら、手のひらサイズの神様がついてきた。 子どもの頃から私につきまとっているおじいちゃん神様。 見守っ…

19世紀、イングランドの女性たちは、新しい女性の生き方を模索していた。ヘレナは、女性冒険家を訪ね、自分の将来を夢見る。

白い部屋に始まり、白い光に還る。 眠れない夜、かかってきた一本の電話。 画面の向こうで笑う「君」は、本当にそこにいる？ 自販機の前の缶コーヒー談義。 その笑いの中に、ふと混じ…

　それは、単なる「逃避」ではないと言えるか？ 　自身の「好き」と向き合って、掘り下げた末に……。 　公式自主企画「この夏、あなただけの“好き”を届けよう」参加作品です。

サイト「ランダム単語ガチャ」で引いたお題を使って、毎日一本140字小説を執筆します。

彼は確かに、そこにいた。 焔神に火を灯し、夜通し火の番をしていたはずだった。 なのに――朝が来る頃には、語る声も、姿もなかった。