「朽ちる」を含む小説

　ごくごく平々凡々の俺の目の前に見たこともない少女が現れた。全然見覚えのない顔。 　少女はこう言った。 「次は救って見せるから。浩」 　待て待て、俺は浩じゃないぞ。

人々に忘れ去られ朽ちる運命にあった彼のもとに、何処からか声が聞こえた。 『誰か、たすけて！』 よろしい、ならば地蔵である。 これは地蔵の、地蔵による、衆生のための物語。

紫陽花は惨めな花だ。あの花は枯れた姿がいけない。 花を憎む、死にぞこないの小説家。彼が見たものは―― 連作短編の一作目です。 全三作で完結です。『雨』、『落ちて朽ちる、花』も読…

小説家の夫に先立たれた「私」 母もいない。夫もいない。自由になった彼女だが―― 連作短編の三作目。 『紫陽花』『雨』の続きです。