「掌編 短編小説」を含む小説

大学の同級生カップルであるモル子とヒネ男にまつわるちょっぴり不穏なお話です。

シェアハウスを出る前夜、荷造りを進める純が見つけられないもの——それは祖母から受け継いだ木の櫛だった。 整えることと、手放すこと。そのあいだにある静かな時間を描いた物語。

暦の上では秋――それでも、どこか夏の気配が残っている。 久しぶりに明里を車に乗せて出かけた日。 それは“今日”の出来事であり、きっと“毎年”の出来事でもあった。 季節の境界に…

雨上がりの道に、置き去りにしたものがひとつ。 半年続いた関係の終わりに、わたしは最後の選択をした。 それは彼のためでも、わたしのためでもない。 ただ、もう抗わずに流れに身を任せ…

あなたの隣に立っている人は誰ですか。

父の舟を見送った川のほとり。 かつての記憶と灯が、静かに重なっていた。 雪の降る小さな町で、 彼女は再び“帰る場所”を見つける。

正史の三国志・蜀書三・後主・劉禅伝第三の 建興十四年に「観阪に登り、汶水の流れを眺める」とある一文から作ったものです。今から、30年ほど昔にパソコン通信時代の掌編です（第二水準文…

「悩むことは、無駄なことなのでしょうか？」 「確固たる意思がないことは、弱さなのでしょうか？」 この短編集は、そんな苦悩を肯定し、向き合うための試みです。

西谷百香ちゃんは、今日もりんごさんとお話ししています。 返事は「しゃり、しゃり」。 でも、それでいいの。 笑ってくれたら、それでいいの。 糸電話の糸は切れているのに、声だけが届…

祖母の死をきっかけに訪れた安置室で、久しぶりに向き合う「記憶」と「静けさ」。 子どもの頃、祖母がいつも用意してくれたミックスゼリー──その小さな甘さが、 今はもう触れられない手の…

　夏目　漱一郎様の自主企画「『秋』をテーマにした一万文字以内の書き下ろし短編小説【秋コン】」の参加作品です。

ワンドロに参加させて頂いてます。１時間で短編を１本書いていきます。ジャンルは色々にする予定 ワンドロ以外もたまに入ってます。よろしくお願いします。

冬の夜、街のターミナルに人々が集まる。 老人、学生、室長、女性、母子。 それぞれが、過ぎ去った時間の“欠片”を抱えていた。 そして、どこかで響く小さな音——“カチリ”。 それは…

誰かが後をつけています。

ニュースでは“今夜にも初雪の可能性”と伝えた。 けれどその初雪を、ふたりは報道ではなく、そばで見上げることになる。 スタジオキャスターと街角リポーター。 同じ建物にいても、いつ…

半期の売上を落とした男。 「正義」と信じてきたものの中に、濁りがあると気づいたとき—— 彼は初めて、世界の静けさを知る。 欲と秩序のはざまで生きたひとりの夜を、優しく、冷静に見…

文学フリマ東京41で出す「アニマの檻」に収録されている掌編です。この一篇は全て読めます。同時刊行で「いいかいミザリー、僕の名をお聞き」も出すので、よろしくお願いします。

寺院で仏師を目指す坊主の伝助。そんな伝助の前に、小さな神様が現れる。