ストーカー

熊笹揉々

第1話ストーカー

私は夜の住宅街を歩いている。さっきまで雨が降っていたこともあって、地面はてらてらと光っている。気づくと周囲に誰も歩いている人はいない。私は思わず身震いする。心なしか足早に家へと急ぐ。

と、私が何の気なしに振り向くと、背後に見知らぬ人がついてきている。というより、すぐ後ろにくっついて歩いてきていたのを発見する。私は驚いてしまって、腰を抜かしてしまう。

尻もちをついた私に、その人影は覆い被さってくる。私は声にならない声を上げ、後退りする。しかし人影の方が速く、私は捕えられてしまう。

履き物を脱がされ、下半身が露出する。私は人影を思い切り、いや、むやみやたらに叩き、暴れる。しかしそれもむなしく、私は押し倒され、人影のなすがままになってしまう。

思わず涙がこぼれて、気持ちががらんどうになる。誰も助けには来ない。絶望よりなお絶望して、私は横たわる人形になる。

雨がまた降ればいい。もっと降ればいい。

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