「大聖堂」を含む小説

一八七〇年七月一九日、普仏戦争の開幕の夜のパリ。 ノートルダム大聖堂のアーチ状の曲面天井の上に舞い降りた影が二つ。 そこで繰り広げられるは《世界の秘密》を巡る、パリ・コミューン崩…

揺籃司祭、卒去。 大聖堂より弔鐘が響いたのは、揺籃司祭の双子の弟であるエディアールと、彼の花嫁シュエラの結婚式の、まさにさなかのことだった。花婿は動揺し、花嫁は涙し、誰も彼もが年…

仕事を失い、祖父を失い、家を追い出され、放火犯の汚名を着せられ、友人・アロアとの関係を引き裂かれ、描いた絵は落選。 拾った財布をアロアの家に届けた失意のネロは、そこでパトラッシュ…

…――とある辺境から遠路遥々、乗合馬車を乗り継ぎやって来た。 無骨で鈍重な鋼鉄の「戦鎚」を携える独りの『僧侶見習い』――"ユスレス・スミンズ"は。 大多数の人間種が信仰し、貴ぶ『…

小大陸エイティン。その中央に位置するアギスダルト教総本山、グロース・エイティン大聖堂に棲まうペトロネッラ枢機卿の元には、聖女・悪役令嬢・勇者・幽霊・魔王と称されているものたちが集…

大聖堂の祭壇前、ステンドグラスの淡い光に包まれた血塗れの兄・ハインリヒの亡骸。 妹・ユリアーネは、正面から剣で刺し貫かれたその傷を見て、“騎士隊”の誰かの手により兄が殺された事を…

長い眠りから目覚めたヴァンパイアのルカは、花売りの少女・ディアナと出会う。なりゆきで彼女の家に転がり込んだルカは、共同生活の中で少しずつ失った感情を取り戻し、彼女のもとに安らぎを…