月見草の棺
小駒みつと&SHIMEJI STUDIO
第1話 霧雨
兄を殺したのは、騎士隊の誰か。
霧雨煙る黄昏の刻、大聖堂の祭壇前。ステンドグラスの淡い光に包まれた亡骸を見て、ユリアーネは泣き崩れた。
「彼ほど名のある騎士様が、正面から刺し貫かれるなんて……」
葬儀の前日、棺屋は遺体を見て言った。
右肩口から背を貫くように、傷跡が残っている。遺体は剣を握ったままだった。つまり、無抵抗ではない。
兄――ハインリヒと正面から戦い、倒せるほどの力のある騎士。それはこの国には三人しかいない。
“ヴィルフリート”=シュバルベンシュバンツ
“セヴェーロ”=ベルトランド
“リーンハルト”=フォン=シュテルンベルク
(この三人の誰かが……お兄ちゃんを…………!)
ハインリヒと同じ、国王直属近衛騎士隊に属する三人。
十四歳の妹、ユリアーネの中には消えない復讐心が刻み込まれていた。
それから、二年――。
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