中華後宮モノってなんとなく近寄りがたいイメージだったんです。だって、難しい漢字がいっぱい出てくるし、中国の歴史にすごく詳しいわけでもないし、後宮ってなんか怖そうだし……。うじうじと言い訳してしまいましたが、せっかくの素敵な作品をちゃんと自分が理解して楽しめるか自信がなく、避けてきてしまっていたのです。
でも、いざ読んでみると、とにかく面白い!宮中に渦巻く策略を切り抜ける爽快感はもちろん、豪華絢爛な後宮で繰り広げられる恋愛模様や異国情緒溢れる風景描写まで、推しポイントが盛りだくさん。読む前の不安は一気に吹き飛び、あっという間にその世界観に魅了されました。
担当と同じく食わず嫌いしてしまっている方、もったいない!ぜひこの機会に中華後宮の世界に飛び込んでみてください!

ピックアップ

恋愛模様を書かずとも描かれるしなやかな初恋。

  • ★★★ Excellent!!!

読ませるお話が、とても素敵な作品です。そして何より気持ちの良いお話です。
作品の世界観とヒロインの性格に合わせたような文章で、飾り過ぎずシンプルにテンポ良く読み手をお話の世界に引き込んでくれます。
「後宮」という特殊なフレーズが想起させる「お約束」を大切に、そして丁寧につないで作られたお話は、一連の真珠のネックレスのような印象を受けました。

得意分野なのでしょうか、ヒロインが合理的な考え方と高い行動力で「後宮」という世界を立ち回る姿が違和感なく描かれていて、とっても共感できると思います。

ちなみに、この作品で描かれる恋は、ジレジレでも、うっとりするような甘さでもありません。
いつの間にか湧き出ていた想いを、ケレン味なく恋だと受け入れるヒロインの「初恋」が清々しいまでの潔さで描かれています。
恋愛小説ファンの偏った見方かもしれませんが、敢えて描かれなかった「とある人物」の想いなども考えると、本当に初恋のあらゆる面を描いた作品なのかな…と思いました。
好きなお話を読んでいると、いつまでも読んでいたいと思ってしまうのですが、このお話に関しては、先を読みたいという気持ちの逸り具合が激しいので、完結してから読めて良かったと思いました。

美しい中華の世界と美男美女にうっとりする作品!

  • ★★★ Excellent!!!

私、初の中華風異世界ファンタジー作品を拝読させて頂きその美しい世界観に驚きました。とても丁寧に描写されていて思わずうっとりしてしまうほどでした。

主人公である淳華は美しいお姫様でありながら文武両道で意思もしっかり持っていてとても格好いい女性です。この世界で留学したいと意思を持つのは相当な覚悟なのでは無いかと思います!
時代背景や姫としての勤めなども丁寧に書かれています。面白くてあっという間に読んでしまいました!

また美男美女のお話ということもあり、これからのキュン要素も楽しみです。
連載中の作品ですので、今後の更新を楽しみにしています!

あ~~今夜も、弦朗君に逢いたくなる…

  • ★★★ Excellent!!!

 序の<まず口上を一つ>で書かれた女神と男神の話が、本作『翠浪の白馬、蒼穹の真珠』を通しての隠し味となっていて、作中のところどころで真珠・毬・扇が出てきます。読者はそのつど、物語りの中にぐいっと力強く引き込まれる思いがすることでしょう。
 そして最後に、再び女神と男神に再開し、「そうなったのか!」と思わず叫んで、読後のカタルシスへと導かれるは必定です。

 これは先に読んだ『涼国賢妃伝~路傍の花でも、花は花~』の艶本の扱いに通じるところがあって、作者の結城かおるさんはほんとうに、<物語りを紡ぐ>のがお好きなのだなと感じ入り、読者はその巧さにただただ身を任せるしかありません。
 
 登場人物3人のイケメン、弦朗君・趙敏・柳承徳…、ラゴ族のサウレリも入れると4人の若者の容姿と性格の書き分けも上手くて、そのうえに情景描写も巧みなので、読み進めるうちに、映像をみているかのように、私の頭の中で彼らが動き始めました。

 あっ、私は、弦朗君にハマりました…。3作の外伝を読んでますます…。

 願わくば、弦朗君の幼少時代から始まって、彼の烏翠国での活躍までを描いた長編を読みたいものです。ということで、今回のレビューの題は、『あ~~今夜も、弦朗君に逢いたくなる…』となりました。