オカルトという言葉で浮かぶイメージは何でしょうか。UFO、心霊現象、UMA、超能力、魔術、都市伝説など三者三葉かとは思いますが、いずれも未知への欲求や憧れをかきたてるものばかりです。
今回の特集は「オカルト」タグが設定された4作品をピックアップしました。物語の中でのオカルト要素の活かし方にも注目して読んでみてください。いずれも読み応えのある長編作品なので、週末の読書にピッタリです!

ピックアップ

緻密、周到、摩訶不思議。二つの世界の迷宮をゆく。

  • ★★★ Excellent!!!

知ってるようで、知らない日常。自分ではない自分の記憶。複雑怪奇な現象が、礒野の気楽な大学生活を襲う。
次々起こるできごとは、目眩がするほど不思議の連続。しかし味のある登場人物たちが繰り広げる緻密かつ周到な解説のおかげで、期待をフツフツ高めながらも文字を追う目が止まらない。

ここまで作り込まれた特上のSFは、WEB小説として久しく出合えていなかったように思います。
礒野を取り巻く友人たちがこれまた個性派揃いで楽しいのです。物語を追うばかりでなくて、「彼らをもっと見ていたい」と強く思わせてくれる面々。

ちなみに私は怜に惚れてしまいました。彼女が出るたび、良い意味で、しんどいです。

二つの世界の螺旋カノン、むちゃくちゃ面白いので是非に。
不思議と、青春とが、詰まってます!

ダークな世界の魅力的なキャラクター

  • ★★★ Excellent!!!

ともに重い運命を背負い、それでも闘おうと、お互いを想い合う真信と深月。ダークな世界でのハートフルな二人の想いに、この物語の魅力を感じています。
ドライな雰囲気満々かと思いきや優しさを真信。ゆるゆるとした雰囲気満々かと思いきや精神力の強さを見せる深月。このキャラクターがとても魅力的で、やりとりもおもしろいなと思いながら読んでいました。
かなりの長編ですが、筋がしっかりとしてブレていなくて、読むのに間隔が空いてしまっても、あまり気にならずに物語に入っていくことができます。
今第一幕を読み終わったところですが、第一幕のクライマックスは、ほぼ一気読みです。物語にスピード感があって、とてもおもしろかったです!
第二幕も読み始めていますが、期待しております!

事故物件を軽快な会話劇で料理した、平成最後のゴースト〇スターズ!

  • ★★★ Excellent!!!

このレビューを書いたのは平成終了後ですけど!(笑
さて、拝読してすごいと思ったのは筆者が持つ不動産・事故物件の知識量です。「ああ、その道に詳しい方なんだな」と安心感を持ちながら読み進められます。しかしこのお話は堅苦しいものじゃありません。
進行はお笑い芸人顔負けのボケ&ツッコミでお話は進み、オムニバス形式で事故物件を処理すると思いきや、コンビを組んだ二人にはそれぞれ別の思惑が存在して……?
ラストもなかなか着地が想像できない展開です、二人がYoutuberを続けた先に見つけたものとは?
ぜひ、あなたの目で確かめてみましょう!

呪物が浮き彫りにする、人間の本質

  • ★★★ Excellent!!!

この物語には、呪物と呼ばれる不思議なアイテムが幾つも登場します。
しかしリアリティを失っていないのは、この作品が人間の本質や欲望、執着について描かれているからではないでしょうか。
望む望まないに関わらず、呪物を手に入れ、次第に抜け出せなくなっていく人達。
それぞれが1つの物語として質が高く、どの主人公にもどこか共感できる部分があります。
そんな登場人物同士が後半で入り混じっていく展開は面白かったです。
ドキドキしながら読ませていただきました。
続編はあるのでしょうか。