時渡り風

秀峰高校テニス部の藤木涼介は春合宿中、地元の祠に祀られていた小刀を拾うはめに。合宿所のオヤジから「鞘から抜いたら呪われる小刀だ」と来歴を聞かされる。それは鎌倉時代初期、この辺りを治めていた榎本一族の最後の当主が自害した小刀だという。
テニス部長で友人、そして密かな片思いの相手、佐見国明とともに小刀を祠に返しにいくが、ひょんなことで鞘が抜けてしまい、強烈な光に気を失う。気づいた時には見知らぬ浜に一人倒れていた。
そこへやってきたのは佐見国明そっくりの武士、名を榎本国明という。海神の使いと館の者に勘違いされた藤木は「御渡り様」として暮らすはめに。
片思いしている佐見そっくりでありながら粗野でオレ様な榎本国明に振り回されながらその優しさや寂しさに心ひかれていく。しかし和田の乱の時は迫り榎本一族の滅亡はすぐそこだった。