概要
名はルディアナという。
かつて彼女が提唱した「リメラ」と「プライマル理論」は国によって生体兵器へ転用され、多くの命を奪った。
大災害の際に生じた技術的なエラーにより、不老不死となった肉体を持て余し、死ぬことすら許されずに時間を浪費していた。
ある晩秋の日、ルディアナは川で瀕死の重傷を負った男を助ける。
名はヒースという。
敵対するソルディア帝国の辺境伯であり、魔法使いだった。
和平を望んだがゆえに仲間に裏切られ、瀕死の状態で転移スクロールを使用し、ルディアナの元へやってきた。
本来ならば殺し合うべき間柄ながら、ルディアナは彼を自宅へ運び込み、持ち前の知識や経験とハーブを用いて治療する。
雪に閉ざされた共同生
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!敵同士の二人が徐々に心を開いていく、癒しと再生のとても美しい物語です
なんとも静謐で美しい物語が、素晴らしい筆致で語られる作品です。
敵同士だった二人が、心を通わせていく様子が素敵で、その描写が素晴らしいのです。
物語内にいちぶ戦闘部分もあるのですが、ほとんどは、おだやかな対話と時の積み重ねで構成されており、主人公ふたりの間が徐々に深まっていく。その過程を楽しみ、読んでいく作品でもあります。
ふたりの立場は全く異なり、国の形や成り立ちも違う。この世界観が、とても重要です。
機械文明の発達した現代社会のようなルディアナの国と、魔法によって成り立つ、中世のようなヒースの国。
主人公のルディアナは、かつて自らの技術が兵器に転用された、多くの人を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!止まっていた130年が動き出す。 孤独な万能は、明日を創る決意をする。
本作は、一人の人間としての**「止まっていた時間」を動かし始めるまでの物語**。
主人公・ルディアナにとって世界は、数式で解き明かせる「完成された静止画」に過ぎない。
ヒースという「例外」との出会いが、彼女の凍りついた日常に亀裂を入れていく。
魔法を使うたびに鼻血を出し、肉体を軋ませる描写を通じて、その万能さという檻の中で、血の通った人間として必死にもがいていることを描かれている。
彼女を「賢者」の座から引きずり下ろし、恋に振り回される「普通の女の子」へと変えていくその落差が、読者は彼女の痛みを自分のことのように感じ、その一挙手一投足に目を離せなくなるかと思います。
その納得のいく結…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大人向けのファンタジー恋愛モノ
ほかの人も何人かレビューに書いてるけど、とにかく文章がうまい。描写の解像度と感情の隠し方が段違い。というか、カクヨムのレビューでいろんな人が読みやすいって書いてるのがやばい。
物語は雪山で暮らす不老不死の技術者と、瀕死の魔法使いの話で、設定だけ見ればファンタジーもの。だけど、中身はゴリゴリの人間ドラマであり、中学生でも読めるくらい優しいのに、大人のファンタジーとして深みがある。
この作品の何がいいって、大事なことをあえて書かずに、モノや動作に語らせるところ。
孤独を”寂しい”と言わずに”木のボウルがひとつしかない”で表現したり、エピローグで過去やトラウマの解放を”上着を一枚脱ぐ”という何気な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!雪の中で交わる、弱さと強さの温度差
ルディアナとヒースの出会いが、ただの“救助”じゃなくて、雪に包まれた深い再生のはじまりに見えて、読んでいてじわじわ温まりました。ふたりの間に流れる空気って、言葉より温度で伝わってくる感じがあって、特にルディアナの長い孤独がヒースの存在で少しずつ溶けていく瞬間が、静かなのにすごくドラマチックなんですよね。
ヒースもまた、強さの裏に深い傷を抱えていて、だからこそルディアナの「触れたら壊れてしまいそうな優しさ」をちゃんと見つけてくれるところが尊いなと思いました。雪山の閉ざされた空間なのに、ふたりの心だけは少しずつ開いていく。その過程が、距離を測りながら少しずつ関係を結び直していく流れだったり…続きを読む