概要
名はルディアナという。
かつて彼女が提唱した「リメラ」と「プライマル理論」は国によって生体兵器へ転用され、多くの命を奪った。
大災害の際に生じた技術的なエラーにより、不老不死となった肉体を持て余し、死ぬことすら許されずに時間を浪費していた。
ある晩秋の日、ルディアナは川で瀕死の重傷を負った男を助ける。
名はヒースという。
敵対するソルディア帝国の辺境伯であり、魔法使いだった。
和平を望んだがゆえに仲間に裏切られ、瀕死の状態で転移スクロールを使用し、ルディアナの元へやってきた。
本来ならば殺し合うべき間柄ながら、ルディアナは彼を自宅へ運び込み、持ち前の知識や経験とハーブを用いて治療する。
雪に閉ざされた共同生
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!雪の中で交わる、弱さと強さの温度差
ルディアナとヒースの出会いが、ただの“救助”じゃなくて、雪に包まれた深い再生のはじまりに見えて、読んでいてじわじわ温まりました。ふたりの間に流れる空気って、言葉より温度で伝わってくる感じがあって、特にルディアナの長い孤独がヒースの存在で少しずつ溶けていく瞬間が、静かなのにすごくドラマチックなんですよね。
ヒースもまた、強さの裏に深い傷を抱えていて、だからこそルディアナの「触れたら壊れてしまいそうな優しさ」をちゃんと見つけてくれるところが尊いなと思いました。雪山の閉ざされた空間なのに、ふたりの心だけは少しずつ開いていく。その過程が、距離を測りながら少しずつ関係を結び直していく流れだったり…続きを読む - ★★★ Excellent!!!雪解けまでの時間が、二人に何かを教えてくれるのか。
永遠を生きる技術者と、限りある命を燃やす魔法使いが、雪山で出会う物語。
それはいつしか、生きる理由を問い直す時間に変わっていく——
この作品は、戦争や敵味方といった重い背景を抱えながら、傷の手当てや食事、会話、沈黙といった場面を重ねて進んでいきます。
主人公ルディアナ。
生き続けることに意味を見いだせずにいた彼女が、ヒースと関わることで少しずつ変わっていく様子が描かれています。
一方でヒースは、命を削ることに躊躇のない魔法使いでありながら、生き延びることそのものに戸惑いを抱えている人物です。
この立場の違いが、物語に緊張感を生んでいると思います。
お話ももちろん好きなのですが、文章の運…続きを読む - ★★★ Excellent!!!続きが読みたい。辺境伯×技術者。敵国同士、一冬の恋物語。
川に流れついた敵国の辺境伯と、それを拾ったヒロインの一冬の恋物語。
しんしんと雪が降り積もる山の中で共に生活をするうちに身体の傷も、心の傷も癒えていく。
静かな情景の中でゆったりとした時間が流れ、二人の距離がだんだん縮まっていく描写に引き込まれました。
主人公二人が若すぎず、落ち着いた大人の恋、大人の会話が淡々と続いていく。それが冬の静かな情景と相まってとても心地が良く、まさに寒い冬の日に読みたくなる一作です。
冬が終われば春が来る。
それはとても嬉しい事のはずなのに、春の訪れは二人にとって喜ばしいものではなくて……。
物語が行きつく先をこの目で見たい。続きが読みたい!と強く感じた作品でした…続きを読む - ★★★ Excellent!!!丁寧な筆致による描写と厚みのある世界が光る恋愛ファンタジー
本作は恋愛を軸にしながらも、丁寧な描写と深く作り込まれた世界観が光る異世界ファンタジーです。雪山や森、帝国内の都市や国境など細部まで描かれており、物語の臨場感を高めています。読み進めていくうちに、自然とこの世界に引き込まれてしまうでしょう。
ルディアナとヒースが少しずつ距離を縮めていく過程を、戦争や政治、科学や魔法の対比を絡めながら描いているストーリーはとても秀逸です。
日常の何気ないやり取りから、魔法や科学の設定に至るまでが巧みに融合し、二人の絆や成長、そして世界そのものの変化を自然に浮かび上がらせています。
最終話からエピローグにかけては、喪失と再生、平和への希望が美しく描かれ、読…続きを読む