概要
美大卒、無職、貯金なし。
大藪英子(おおやぶ・えいこ)は、異世界を描き続ける絵描き見習い。
バイト漬けでカツカツの生活の中、人生を賭けた公募に落選し、彼女はまさに「断筆」の瞬間を迎えていた。
そんな絶望の淵に現れたのは、謎の「後援者」と噂されるスーツ姿の公務員・斎木茂吉。
彼が提示したのは、あまりに荒唐無稽な国家機密だった。
「政府は異世界に関する機密解除を行います。そのために、あなたに『本物の異世界』を見て描いてほしいのです」
導かれた先は、現実の異世界「ヤムント国」。
これは、筆を折った一人の女性絵描きが、国家規模のプロジェクトに巻き込まれ、本物の異世界を「記録(アート)」で無双していく物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!断筆姉さんはそれでも前を向く
このお話は、バブル崩壊後の1999年東京で、貧乏フリーター絵描きの女性が、創作と生活苦、そして理不尽な搾取に押しつぶされかけながらも、それでも筆を握り続ける姿を描いていく物語です。彼女はは美大卒業後、親の援助も乏しい中で予備校チューターなど複数のバイトを掛け持ちし、異世界ファンタジー作品の制作に全てをつぎ込んでいます。しかし、大学院進学に失敗し、かつて自分が相談した異世界ファンタジーのアイデアを、裕福なライバル院生と助教に「先に」大作として形にされ、賞まで取られてしまった過去を抱えています。そして順風満帆のライバル。それでも彼女は徹夜でキャンバスに向かい、生活を削って公募に挑み続けます。そし…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!1999年、夢追う絵描きがパジェロで越境する、国家公認のリアルな異世界
1999年の東京を舞台に、創作への情熱と困窮の間で揺れる若き絵描き英子が、謎の役人「斎木茂吉」の噂を耳にするところから物語は動き出します。
特筆すべきは、1999年という世紀末独特のノスタルジックな空気感と、異世界への接触が「国家的な支援事業」として描かれる異色のリアリティです。
バブル崩壊後の金欠や同人活動といった泥臭い現実のすぐ傍らに、自衛隊車両で乗り込むような異世界ゲートが存在する設定が秀逸です。
サバサバとした英子の目線を通し、アナログとデジタル、そして現実と空想が交差する筆致は、大人の知的好奇心を心地よく刺激してくれます。
創作の苦悩と未知への憧憬が混ざり合う、一味違う異世界…続きを読む - ★★★ Excellent!!!断筆寸前の絵描きが挑む、政府主導の異世界プロジェクト
1999年、東京。美大卒・無職・貯金なし。バイト漬けでカツカツの生活を送りながら、異世界ファンタジーを描き続ける大藪英子。人生を賭けた公募展で「選外」の烙印を押され、文字通り断筆の瞬間を迎えようとしていた――その時、謎の後援者の噂が耳に入る。
霞が関の公務員・斎木茂吉。彼がwebに公開する「異世界の街」の写真は、CGなのか、それとも本物なのか? 深夜のコンビニバイトで偶然彼と接触した英子は、やがて「政府は異世界に関する機密解除を行う」という荒唐無稽な計画を知ることになる。
渾身の作品が「社会不安を惹起する」として展示を拒否された謎。噂される「本物の異世界」への転移。そして命を救ってくれた斎木…続きを読む