1999年、夢追う絵描きがパジェロで越境する、国家公認のリアルな異世界

1999年の東京を舞台に、創作への情熱と困窮の間で揺れる若き絵描き英子が、謎の役人「斎木茂吉」の噂を耳にするところから物語は動き出します。

特筆すべきは、1999年という世紀末独特のノスタルジックな空気感と、異世界への接触が「国家的な支援事業」として描かれる異色のリアリティです。

バブル崩壊後の金欠や同人活動といった泥臭い現実のすぐ傍らに、自衛隊車両で乗り込むような異世界ゲートが存在する設定が秀逸です。

サバサバとした英子の目線を通し、アナログとデジタル、そして現実と空想が交差する筆致は、大人の知的好奇心を心地よく刺激してくれます。
創作の苦悩と未知への憧憬が混ざり合う、一味違う異世界ファンタジーを味わえる一作です。

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