概要
「『月が綺麗ですね』を題材とするアンソロジーを作るので5000字以内の掌編を出してください」
そう編集者から要求されるも、締切を延ばし続けていた。
そしていつの間にか最終締切は今日に迫っていた。
――仕方ない。適当に書こう。
僕は何の味わいもないごく普通の恋愛小説を書き、提出した。
翌日出版社に呼ばれ、校閲者・蛇喰と対面した。彼は僕に会うなり原稿を床に投げ捨てた。
「読む価値なし」
彼は正真正銘のサディストだった。
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たねありけ様の自主企画「【急募】月の清掃隊」参加作品。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!天野純一作品の入門編として最適だと思います
現役の大学生にして、次々と面白い本格ミステリを量産する俊英の最新作です。
キャッチコピーや説明文にあるとおり、何の変哲もない恋愛小説を校閲する、というストーリで、「校閲というとなんか地味な作業だな」と自分は思ってしまいましたが、結末まで読み終えてビックリ‼
恋愛小説が、あっと驚くミステリに変貌したからです。
その意味で、少し前の「Q. 彼ピはなぜイクラばかり食べるのか?」の系譜に属する作品ですが、本作は5,000字以内という短い文字数の制約の中で、本格ミステリならではのロジックとトリックを凝縮してみせている点が特筆すべきところ。
本格ミステリというと、なんだか取っつきにくい感じがしま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ドSに小説を校閲する男。やがて、小説は思わぬ方向へと……
ラストでの伏線の収束していく感じがとても面白かったです。
主人公は駆け出し作家の天野純一。彼はアンソロジーに寄稿する小説のネタに悩み、どうにか一作の恋愛小説を書き上げることができるが……。
作中作は「菊池」と「梨乃」の恋愛小説、という体で進む。「月が綺麗」と口にされたことで心がときめく様子などが描かれていた作品として仕上がる。
だが、第三話で登場する凄腕の校閲係の蛇喰が登場したことで、事態は思わぬ方向へと。
作中作に散りばめられたわずかな「違和感」のある描写の数々。それらが伏線として蛇喰のツッコミが入り、「思わぬ真相」、「思わぬ結末」へと導かれていく。
恋愛小説として書…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたは矛盾点にいくつ気づけるかな?
とても斬新なミステリー作品で最初から最後まで楽しめました。
まずは、この作品がどういう内容か、大まかに話そうと思います。
作家の天野純一は「『月が綺麗ですね』を題材とした5000字以内の掌編アンソロジーを執筆していた。
締め切りは今日まで。
しかし、全然アイデアが思い浮かばず、苦しんでいた。
担当の編集者に急かされ、焦った天野は適当に小説を書いてしまう。
その小説は、簡潔に言うと、主人公と梨乃という女性が中学校の屋上で、夜空を一緒に見ながらロマンチックな時間を過ごすという物語なんですが、これが後に蛇喰という凄腕の校閲マンに矛盾点を指摘されまくることになります。
その指摘…続きを読む