天野純一作品の入門編として最適だと思います

現役の大学生にして、次々と面白い本格ミステリを量産する俊英の最新作です。

キャッチコピーや説明文にあるとおり、何の変哲もない恋愛小説を校閲する、というストーリで、「校閲というとなんか地味な作業だな」と自分は思ってしまいましたが、結末まで読み終えてビックリ‼

恋愛小説が、あっと驚くミステリに変貌したからです。

その意味で、少し前の「Q. 彼ピはなぜイクラばかり食べるのか?」の系譜に属する作品ですが、本作は5,000字以内という短い文字数の制約の中で、本格ミステリならではのロジックとトリックを凝縮してみせている点が特筆すべきところ。

本格ミステリというと、なんだか取っつきにくい感じがしますが、本作に限ってはその心配は杞憂で、読みやすく明解な作品だと思います。

短い文字数の中で、分かりやすく本格ミステリの醍醐味を堪能できる本作は、天野純一作品の入門編として最適です。
才気あふれる若き本格ミステリの書き手の最新作、ぜひご一読ください。

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