名探偵である赤瀬川舞衣の双子の妹、芽衣は姉の替え玉として『密室大戦』というイベントの選考会を訪れる。そこにはさまざまな名探偵たちが集まっていた。
応募された「密室」について名探偵たちが採点し、最も得点が高かった密室が大賞、賞金342(密室)万円を獲得できるのだという。
密室殺人を扱うとなると残虐な物語になりそうだが、あくまでも企画なのでご安心。
とにかく密室のアイディアが秀逸で、ミステリー好きを唸らせること間違いなし。
さらに、集まった名探偵たちのキャラも面白い。相棒がフクロウだったり、正体不明の謎の人物だったり……やりとりを見ているだけでも楽しくなる。
謎解き好きな人、意外な展開を楽しみたい人、魅力的なキャラが好きな人……いろいろな人が楽しめる密室ミステリー、ぜひお楽しみください!
四人の名探偵が架空の密室事件に挑戦しつつ、その出来不出来を採点するバラエティ番組を描いた作品。本格推理をただひたすら楽しむためだけの設定で展開される本作。設定の雰囲気は深水黎一郎「ミステリー・アリーナ」に近いか。
作者は本格推理小説のプロを目指していると公言しており、実際、他作品もその自負に適う高水準の本格ものを発表している。おそらく本作はその集大成と位置付けている作品ではないか。
現在のところ第二部まで完結しているが、それぞれ緻密なロジックと斬新な謎で構成されており、歯応え十分である。完全なフェアネスも保証され、お約束の「読者への挑戦」のところまでの記述で、読者も推理によって解決に辿り着くことができる。
今のところ解決編では四人の探偵がそれぞれの検証や推理を披露して(互いに相手を出し抜こうとフェイク推理も混じる)、一斉に答えをフリップ(タブレットだけど)で出すという展開で、多重解決的な要素もチラ見せしつつ唯一解に辿り着く。個性的な探偵たちの推理バトルも見られる贅沢な作りだ。もしかすると今後、多重解決展開もあるのかもしれない。
なお語り手の探偵だけは双子の姉の替え玉で出演している一般人のため、問題編における考察は読者と同じレベルで親しみやすい一方、ミスリード役も務めかねないので油断できない(笑)。
作者によると第二部のロジック構築に一年かけたそうである。これだけのロジックならさもありなんと思いつつ、第三部が非常に待ち遠しい。未読の方にとっては今なら第一部と第二部が連続で楽しめるので、ガチの本格好きの方はぜひご一読いただきたい。
『密室大戦』とは、密室殺人の芸術点を競うという、作品内での番組企画。挑戦者が用意した渾身の密室トリックに名探偵たち(と我々読者)が挑むミステリーです。
立場的には密室を用意する側が挑戦者であり、名探偵たちが審査員という立ち位置なのですが、トリックのレベルが高いため、実質的に名探偵たちが挑戦者の様相を呈しています。
それほどに挑戦者の用意したトリックの出来が良いということ。ミステリーが好きで謎解きに自信がある人も、正答を得るのはなかなか難しいのではないでしょうか。これは挑戦のしがいがありますね!
第一の密室では「温度」を巧みに利用したものでした。自信がある人はぜひ挑戦してみてください。
出題はドラマ仕立てになっていて、臨場感を伴って事件を追うことができますよ。
名探偵は四人いるので、プライドをかけた彼らの推理合戦も必見です。
このレビューを書いている時点では第一の密室が完結しており、第二の密室が始まったばかりの段階。
さらに第三の密室も予定されているらしいので、非常に期待感の高まる作品です!!
これこそ本格ミステリであり、第1編を読んだ時点で傑作だと断言できるほど、非常に非常に面白いと思いました。使い古されたネタなどは一切なく、誰からも読んでも新鮮で、絶対に楽しめるはずです。
本作の主人公である赤瀬川芽衣の姉は、皆から認められる名探偵だ。彼女が解決した事件は数知れず、名探偵として世間から「虹色の脳細胞を持つ女」とまで称されるほどである。
容姿はまったく同じの双子なのにもかかわらず、妹の芽衣には優秀な姉とは違い、名探偵としての才能はなかった。
だがある日、芽衣は姉から『密室大戦』というイベントの選考会へ代わりに行って欲しい、と頼まれた。ありのまま振る舞えないのを嫌がった芽衣は一度その頼みを断るのだが、報酬のお金につられて、『密室大戦』に参加することになった。さて、彼女の命運はいかに——といったお話です。
まず、第1編しか読んでいないとは思えないほどの密度と満足感が本作にはありました。数々の伏線や、ミステリ好きではなくても聞き覚えのある単語がふんだんに盛り込まれており、作者の天野さまの本気度が伺えます。
謎解きの難易度なのですが、めちゃくちゃレベルが高いです。私にはまったく解けませんでした。
しかしご安心を。丁寧に、そして巧みに作り込まれた本作には名探偵が何人も出て来ます。彼ら彼女らは『密室大戦』という企画の都合上、我々読者にもわかりやすく説明をしてくれます。トリックや謎を解く際の論理がしっかりしているため、全然トリックとかがわからなかった方でも、解説シーンを読めば絶対に納得します。
繰り返すことにはなるのですが、本当、まだ第1編しか読んでないとは思えない満足度です。完結してから一気に読みたい方々もいるとは思いますが、本作は第1編の時点で信じられないくらい面白く、素晴らしいので早く読むべきですよ!
超おすすめの作品です。早く読みましょう! ぜひ、ぜひご一読ください!!
天才名探偵の双子の姉から替え玉を頼まれたのは、推理の才能を持たない妹・芽衣。
彼女が放りこまれたのは、名探偵四天王と呼ばれるアクの強い探偵たちが集められた、全国生放送の密室トリック品評番組『密室大戦』でした。
一般公募の密室殺人事件に名探偵たちが挑み、謎を解き明かすだけでなく密室としての芸術性までをも審査するという、聞くだけでおもしろそうな番組です。
テレビ番組らしくドラマ仕立てで公開される密室は、名手天野 純一らしい作りこまれたもの。
作中のドラマを見て、自分でトリックを考えるもよし。
変人ぞろいの名探偵を眺めてキャラ小説のように楽しむもよし。
この素晴らしい本格ミステリをぜひご一読ください!
一般人が考えた密室殺人の謎を名探偵たちが解き、またその芸術性を評価するという番組――密室大戦。
まず、その斬新なアイデアに驚かされました。
素晴らしい発想だと思います。
名探偵が四人出てくるのですが、どのキャラも個性があって魅力的です😊
評価項目が不可能性・難解性・即時性・ご都合主義性・論理性と五つあるのですが、名探偵たちの評価はバラバラで、各々の性格がしっかり出ているのがとてもよかったです。
一つ目の密室はスポーツ複合施設のプールで、水泳選手の水無月葵が死んでいたという事件。
しっかりと事件が起きるまでの過程が描かれていて、トリックも作り込まれているし、真相に意外性もあって、総じてクオリティの高いミステリー作品でした。
ちなみに、私は犯人もトリックもわかりませんでした😓
解くのはかなり難しいと思います。
あなたも是非、この謎解きに挑戦してみてください。
生放送の推理系バラエティ番組『密室大戦』。それは視聴者から募集し、最終選考に残った4つの密室を審査員が評価するというものだ。評価項目は不可能性・難解性・即時性・ご都合主義性・論理性の5点。そして審査員は個性豊かな“名探偵四天王”。優勝賞金の342(みっしつ)万円はいったいどの密室が獲るのか?
まず発想の妙に目を奪われました! そしてただ密室を提示するのでなく、ドラマ仕立てでその成り立ちを語り、バラエティらしさを演出しつつミステリー的な仕掛けを散らす巧みな構成に引きずり込まれました!
加えて出演料欲しさに姉の身代わりとして参加した素人探偵にして主人公、赤瀬川芽衣の視点が読者を代行している点――彼女といっしょに謎解きを楽しむ感じ、これがまたすばらしいのですが。それを阻む名探偵四天王同士たちがまた外連味盛り盛りで、芽衣さんと物語を混沌へ陥れてくれるのですよ。本当にキャラ力が高いのです!
さあ、第一の密室を巡る評価はいったいどうなる!? 芽衣はちゃんと姉の身代わりを務められるのか!? 結末はご自身の目で!
(「ダニットという謎」4選/文=髙橋剛)
※第一編までを読了した時点での感想です。
さて、上に書いた「ガチ」の意味について、辞書には以下のように記されています。
『真っ向勝負、小手先ではない正面からの本気のぶつかり合い、などの意味で用いられる表現。』
本作には、これらの表現がそのままピタリと当てはまります。
なぜなら、本作はロジックによる謎解きを追求する姿勢において、一切手抜きのない渾身の力作であるからです。
密室トリックについては、少しネタバレ気味にはなりますが、文系読者にとってハードルが高いかもしれません。
しかしながら、犯人を特定する過程=ロジカルな推理、において突出した成果を上げています。
100%ロジカルな推理小説というのは今だに存在していない(あるいは今後も存在しえない)と思いますが、作者はその遥か高みを目指そうとする意志を、実作を以て表現しています。
しかも、19歳という若さで。空恐ろしい限りです。
本格ミステリに少しでも興味のある方は、是非とも作者の本気と向き合ってみてください。
また、本格ミステリにまったく興味が持てない方は… そんな方にも「世の中には、こんなにもロジックにこだわる特異な形式の小説があるんだなあ」ということを発見していただきたいです。
若き才能のほとばしる本格ミステリ、是非ご一読ください。