突然、僕の身に『セカイ』が降り掛かったら?
- ★★★ Excellent!!!
――人と人との関係性の基本はギブアンドテイク。等価交換だ。
(本文・第一章より引用)
過去の出来事が原因で心に傷を負った少年・勝紀は、周囲の親しい人々から受ける無償の善意に戸惑いを覚えながらも、ごく普通の生活を送っていた。
大切な人に少しでも恩を返すため、首から下げたクラシックカメラ。
ファインダー越しに幾つもの『セカイ』を切り取る中、やがて1人の少女が勝紀の前に現れる。
篠宮理恵。世界の命運を握る『運命の子供』だった。
理恵に告白された勝紀は、自分の意思とは無関係に彼女との交際を強要される。
無数の監視と厳密なシュミレーションのもとで用意されたやりとりは、勝紀の気持ちとは無関係に理恵を喜ばせるもの。
けれど、周囲の思惑をなにひとつ知ることのない理恵は、どこまでも無垢な少女で。
そんな彼女だからこそ抱えていた純粋な悩みを知り、勝紀の中には、命令や演技ではない、本当の『想い』が生まれた。
友情。恋愛。
人と人との関係性の基本は等価交換。
大切な悩みが2人を繋いで、ほのかな恋が始まる。
でも、決して忘れてはいけない。
理恵は――『運命の子供』。
彼女を巡り、やがて世界は大きく動き出す。
2人の、本当の気持ちを置き去りにするかのように。