概要
死者の声を聞きたければあの沼にゆけと、人々は言う。
その土地の人々は、死者の声を聞きたければその沼へゆけという。ずいぶん手近な冥界への入り口もあったものだと、半ばあきれながら、私は死者の沼をめざした。
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- ★★★ Excellent!!!孤独な呪医は夜霧をさまよう。死者の赦しを求めて。
どこか紀行文のような冷静な体裁で綴られるのは、
「私」がその湿地の村の滞在中に起こった出来事。
村からいくらか離れた湿地の奥に「死者の沼」があり、
呼び掛ければ、死者の声を聞くことができるという。
「私」も死者の沼を訪れたが、応える声は得られなかった。
案内人とともに村へ戻る途中、「私」は高熱で倒れてしまう。
目覚めると、村の医師《エトゥキ》が看病してくれていた。
そのまま「私」はしばらく彼の厄介になることになった。
自分語りをしない孤独な医師は、南の砂漠から来た異邦人。
村の人々からは、疎まれてはいないが、畏れられている。
本当は情に厚いはずの彼は、どうやら何かに苛まれている。
彼の過…続きを読む