世界の鎮魂歌【ばんか】は、俺が歌う! -拝啓、無能がお好きな皆様へー

作者 和泉ユウキ

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★★★ Excellent!!!

生きていた頃、カイリは高校模試の判定結果をたまに会える父親に機械の如く渡すのが習慣の日々だった。

判定は当然の「A」。
最高峰の大学をただ目指して、机の上で勉強する日々。

父が、医者。
母が、裁判官。

当然カイリもその道に進むのだと思っていたのだが……。
突然の事故で死んでしまい、記憶を持ったまま異世界へと転生したんです。

只の「記憶持ち」。
現実世界でも前世の記憶を持ったものがいると聞いたことがありますが、いずれにせよよくある「チート能力」や「ハーレム」なんてご都合主義なものはなく。
ありふれた日常を、温かく優しさで目が霞むような生活にカイリは満足していたんです。

一歩、一歩、年齢を重ね。
一歩、一歩、優しさに触れ。
一歩、一歩、彼は、カイリは……。

――――歌を「村の中だけ」で、歌うんです。


丁寧に、丁寧に……。
心の違和感と葛藤しながら、彼は歌うんです。

一話、一話。
私は胸が締め付けられる感覚がしました。
そして……。

「赤」が村を――――……。
――――「黒」が人を。

そして、彼は知る。

目の前には、優しい顔をした両親。
ライン。
ミーナ。
リック。

――村の者達が、静かに佇む。

彼は、カイリは一歩踏み出す。
そう、旅に出るんです。

この物語はそういう物語なんだと。
私は感じました……。

「感動」という言葉を軽々しく使うつもりはありませんが、画面越しで涙が溢れたのは作者様の想いが伝わってきたからでしょう。

第16.17話の文章。
凄いです……。
凄すぎました……。

歌を、想いを、カイリの幸せを。
心から願っています!

★★★ Excellent!!!

重厚なストーリーと緻密な描写でつづられる、ハートフルファンタジー。

ご都合主義もチートもない、異世界転生というテンプレートな導入からは想像できない、リアルな少年像とその心に寄りそった物語が、読者の心も揺さぶることは間違いない。

『聖歌』などの印象的なギミックが読者の興味を引き、なおかつストーリーの重要な根幹にかかわることを匂わせる。

細部まで気を配り、こだわりを持って設計された物語には、時間を忘れて引き込まれずにはいられなかった。

この作品は、誰もが抱える「傷ついた少年・少女」に寄りそう、慰めの歌であり、背中を押す応援歌だ。

★★★ Excellent!!!

 転生先の異世界は、「歌」が特別な意味を持つ世界だった――。

 主人公が異世界に転生します。
 しかし、特殊能力を得たわけでもなく、前世の知識を生かして大活躍するわけでもありません。
 主人公カイリは「前世の記憶を持ったまま生まれてきてしまった」というだけの、普通の少年です。
 むしろ、前世の死の恐怖を覚えているがために、人を傷つけることを極度に恐れ、日常的に武器が扱われるようなこの世界では「役立たず」と言えなくもない、そんな立場です。

 けれども、カイリの両親は暑苦しいほどの愛情たっぷりに彼を育ててくれ、村の人々も皆、優しい。カイリは、平和な毎日を過ごします。
 ――時々、「隠されている違和感」を感じながら。


 一番好きなシーンをご紹介したいのですが、それをするとネタバレになってしまいます。
 なので、言いたいのに言えません!

 あのエピソードは凄かった……!
 文章から伝わってくる温度に、ゾクゾクしました。
 研ぎ澄まされすぎた言葉が、心に響きました。

 物語の初めの頃からは、想像できない展開が待っています。
 騙されたと思って、「Banka2 俺の歌は、彼らのために」の最終話「第17話」までを、まずは読んでいただけないでしょうか……?

★★★ Excellent!!!

前世の記憶を持って、異世界に転生したカイリ……だが、彼にあるのは記憶だけ。
「チート」と呼ばれる能力もなく、けれども、今世の両親に溺愛され、村の子ども達に慕われながら、カイリは平和に、穏やかに暮らしていた。

……平和な日々の陰に、どこか、不穏さを感じながら……。

そして、その秘密が暴かれる時、カイリは――――。


最近、流行りの異世界転生とは真逆をいく今作、丁寧に描かれる日々からの急展開は、息を飲むしかありません!

流行りの異世界にはもう倦んだという方、胸に迫る物語を、ぜひともご一読ください!