感情たちの悲壮な戦い

人間の思念から生まれた《想いの残骸》と呼ばれる特殊な存在が、ひとりの少女と出逢い、恋人ごっこを始めます。少女との交流を重ねていくうちに、彼の心に少しずつ変化が起こり始めて……という魅力的な展開に引き込まれました。ですが、これはほんの序章に過ぎなかったのです!
予想のつかない方向にどんどん進んでいく物語に、何度も驚かされました。伏線がしっかり提示されていたことにあとから気付いて、そのたび膝を打ちました。そんな巧みなストーリー運びに翻弄される感覚が病みつきになります!

先の読めない展開が続く一方で、登場人物たちの複雑な感情は、読めば読むほど募るように押し寄せてきます。
共感できる部分もあれば、理解できない部分もあって、だからこそより強く、心に訴えかけ続けてくるのです。
不思議な題名に惹かれて読み始めたのですが、『想うことを想う』の意味がじわじわと効いてきました。

愛とは何か。様々な切り口から深く考えさせられる作品です。

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